◆「きっと、とめどない概念の流動への恐れが私たちを定義好きにする仕組みと、レベルはちがうが妙によく似た事情がそこにある。安心感への願望が、さまざまな諷喩としての書物を書かせ、読ませる」(佐藤信夫『レトリックの消息』185頁)。ナラティブではなく物的論拠ある安心をどう与えるかが焦点
◆関係構造の類似性を使う「譬えによる議論」はロゴスのみならずエトスとパトスの説得も取り込んでいることを指摘する香西秀信「「譬え」による議論の修辞学的分析」が、自分が同ロジックを好む理由を明らかにしてくれた。香西は同議論と「類似からの議論」を区別する(「正義原則と類似からの議論」。
◆「標準的な意味分節の標準的な構造化にあてはまらないような現実(もしくは虚構的現実)を、あえて構造化してみるひとつの手だては、別のカテゴリーに属する意味分節とその構造性を借用してみることである」(佐藤信夫『わざとらしさのレトリック』31-32頁)。諸範型を近位項として対象をみる。