◆「漱石にとって、言語は―日本語は―けっして自家薬籠中のものであったためしがない。言語は、いつも、どうにも手なずけられぬ生きものたちだったにちがいない」(佐藤信夫『わざとらしさのレトリック』41頁)。きまじめすぎる認識者ゆえにレトリックを強いられる、並外れた修辞的表現者。