ハルちそんなにキノコ好きだったん?そう聞くと、この煌びやかな光を纏う植物いえ菌類の生態系を直に感じたく、始まっちゃうノンブレス。前祝いでしたねぱあっと行きましょうか、待って俺の秘蔵のお酒並んでんのちょっとお!お肉もキノコもお酒も山ほどの大収穫。そう勿論お前達もよ、な秋の1日(了)
やるなママよ、和尚の不敵な笑い。てか全然カッコよくないし。お薬嫌いなオジサンが無理くり飲まされたみたいなってる。達ちゃんはこうでもしないと薬飲まないからね、コドモですか。さあさあお布団行ってね忙しいんだから、コドモですか。和尚は大人しく部屋に戻っていった。夕飯どうしようかな(続)
雲母さんにも見せたかったんです、設楽は例の小瓶を差し出した。恐る恐る手に取ったハルちゃんは不思議そうに眺めた後、トランス状態に(集中しすぎて何も聞こえなくなってる)きっと頭の中ですごい勢いでノンブレス解釈が炸裂してるんでしょう、ハルちゃんの分を小皿に取り分けながら設楽が言う(続)
珍しく早々に可愛い言ったったのに何その不満げな顔は。いつもはもっと引っ張るのに、やだなあ引っ張ってないってもお、でもほんとキレイなキノコよねえ。持って帰ってハルちゃんにも見せよう、きっと喜びますね、ハルちゃんの名前出したら通常モードなったよかった。テント出て山道を家に向かう(続)
今日はかなり寒暖差があって寒いのに和尚はいつもの作務衣。寒くないですか?んなもん全然だよ、ちょっと失礼して額に手を当てるとかなり熱い。ちょっと熱ありますね、ほらあやっぱりい!真々部さんが何故かキレ気味に和尚の部屋に布団を引き始めた。そんな大袈裟な、そんな和尚を無理くり布団に(続)
ナポリタンかカツサンド、出来るまでどて煮と般若湯で繋いで…台所でシミュレートしてたらかなりの勢いで真々部さんがやってきて、達ちゃんが何か変なのよう!そんなバカな、縁側の和尚に特に変わった様子はない。何だお前らどうした?真々部さんが和尚が変だと、達ちゃん薄着なのに手が熱いの!(続)
お夕飯は普通に作ってくれて大丈夫よ達ちゃんは一時間くらいしたら起きてくるから。え具合悪いんじゃ、起きたら全快してるわよ面白いでしょ、ケラケラ笑いながら真々部さんは仕事をしている客間へ。半信半疑でナポリタンの支度を始めたら、本当に和尚起きてきた。あー寝た寝た、おっナポリタンか(続)
三人で行こおキノコちゃんの国。ハルちゃんはビックリ顔で数秒固まった後破顔、すごい破顔。伊達さん設楽くんすごく嬉しいです、キャー言う勢いでハグそしてハグ。今予約入れました、全員のスケジュール完全把握なんよねウチのコンシェルジュ設楽。今度からコン設楽て呼ぶわ、御意、じゃあ前祝い(続)
朝の読経、境内の掃除。寺に住んでいる猫達にご飯をあげていたら、よっちゃんお早う、優しげなおネエ言葉は和尚の幼馴染、キャラクターデザイナーの真々部さん。今日はここでお仕事させてもらうのよろしくね、袋いっぱいフルーツの差し入れ。お礼を言いながら今日の献立を考える。B級グルメだな(続)
伊達さん設楽くん松茸もお肉もとても美味しいです、いつの間にかお皿が空に。追加分をじっくり焼いてる設楽はハルちゃんの好きそうな重めの赤をグラスに。まあ外で呑む時はぐい呑みみたいなやつね。この可愛いキノコはどこかで採取されたんですか?いえ実習に行った先でオレの靴に付いちゃってて(続)
いい感じに焼けた頃合いに設楽が皿に取り分けてくれる。大きい肉は切ってくれるていう。お前気遣いすぎやん何なん、ぱっと来てぱっと食べた方が美味しいじゃないですか、うんまあそうだけど、こいつはほんと世話焼きだなあと思う。すると俺の携帯にメッセージ。もうすぐ帰りますなハルちゃんから(続)
松茸と栗とあと焼いたらよさげなの持って庭のベンチのとこに。設楽がバーベキューコンロ出して早速獲物を並べている。よく冷えたビール開けてのんびり待つ。足元には蚊取り線香。今なんかいいカガクの力のがあるだろうに、この煙臭いのがいいんだよねえ。ぱちぱち爆ぜる音と白い煙が空に昇ってく(続)
こないだ実習で行ったとこでシューズの裏に菌糸付いてたみたいで。え培養したん?多分踏んじゃって何とかならないかと。見事再生したねえ可愛いねえ。オレがですか?んやキノコがよ。再生できたオレは可愛くないですか、だからキノコだよ、オレは可愛くないですか、禅問答かな。わかった可愛い(続)
夢中になってるハルちゃんが〝戻ってくる”までは見守るだけ。設楽がいい具合に焼けた肉や松茸を皿に乗っけてくれる。おまビールとかがいんじゃないの?お願いします、ビール取りに行ってついでに冷蔵庫で見つけたイカの一夜干し。一気に居酒屋まあいいか。庭に戻ったらハルちゃんも〝戻ってた”(続)
想像してみて欲しい。スーツ、しかも超名のある風の。そんでおろしたてのウェリントンフレームのメガネで超美形の俺のハルちゃんがよ?瓶詰めのキノコテラリウムをまじまじと眺めてるの。例えバーベキューコンロで炙った松茸を頬張りながらでも。オレは思うのよ、なんて綺麗な子なんだろうってね(続)
そうよお俺は気遣いしいなんよ。確かに、ですが方向性が定まってませんよね時々。設楽のいってる方向性がどのあたりなのか謎だけど、褒められてるんだろきっと。ようやく家の門の前に着いた時、これ置いてきますんでちょっと待ってて下さい、俺の収穫のやつを家ん中へ。と思ったらすぐ出てきたよ(続)
なんだいい匂いするな、和尚が覗きに来ちゃった。ここで食うわ腹減った、ダイニングのイスにすわって丼にレンゲを突っ込んでる。なのに真々部さんは笑ってる。このおじやは達ちゃんの好物なのよ、残りを茶碗に入れてくれた。ジャンクぽいけどなんだか懐かしい味。ジャンクだなとか思ってるでしょ(続)
そのまま手引っ張られて再び裏山方面へ。えなんで戻るんよお、見せたいものがあるんです、林の中にある設楽の隠れ家テントに。暗くならないうちに帰りたいんよ、大丈夫ですほらこれ、設楽が出してきたのは小さなガラス容器。そこにはテントの暗がりに映え、緑色に発光する物体が。えっと何コレ?(続)
コツコツ、靴音。すると門の方からすごい勢いで誰か来た。キャー怖いー!すみませんエンジン調子悪くて電車使いました、息荒げのハルちゃん帰還。いい香りですね、嬉しそうなハルちゃんにウェットティッシュを差し出して、車出したのに、声をかける設楽に、ありがとうございます、ただいまのキス(続)
お料理得意じゃないけど、そう言いながら真々部さんはだしパックとお湯とご飯を鍋に投入。あだしパック出さないと、いいのいいの一緒くたでそんで卵入れるのよ、お醤油とかは?味付けはねこれ(の◻︎たま)と海苔。あっという間におかゆかおじやかが完成。だしパックをつまんでポイして丼に盛って(続)
ジャンクというよりB級グルメですね、よっちゃんのご飯には敵わないけど、この丼は思い出食いってやつなのよ、そうそうマズウマな、和尚が丼を平らげ笑っている。マズウマって何よ達ちゃん!食べたんなら薬飲んで寝ちゃいなさい、俺あ薬いらねえ、な和尚の隙をつき錠剤を口に放り込む真々部さん(続)
スパダリの道は一日にして成らず、よねえ。伊達さんはいつからそうなろうと思ったんですか?金木犀の写真をカシャーカシャーしてる俺に真面目に聞いてくる。忘れちゃったけど気づいたらそうなってたん、元々自由気まま、でも相手に対してはいつも真摯、例えそれが複数でも。気遣いしいですか成程(続)
とか言ってる側から根っこに足取られてバランス崩して、見越したかのような見事な設楽キャッチ。キャッチて。ほら危ない、俺抱えたぐらいじゃびくともしない腕で、栗とあけびと松茸も死守。こういうのがスパダリ言うんだろうけど、ちょっと面白くないんよスパダリは俺でありたいのお!わかって!(続)
ガラス瓶の上蓋をくり抜いて網が貼ってある、設楽手作りのまるでテラリウムなやつ。中には苔と小石と、瀕死だったキノコ。暗がりでようやくキノコってわかる。台所の隅っこのワゴンの上に置いて、俺の採ってきた秋の味覚たちをテーブルに広げて。栗は庭で焼こうと思うんよ、それ最高のやつですね(続)
伊達さんが金木犀がお好きなので、ハルちゃんがそう言って庭師の小越くんに頼んで植えてもらったと。そっかあ嬉しいん、伊達さんの好きなものはオレらは常にリサーチしてますんで。気づかないとこでそうやってサプライズ用意してくれるお前らの事イイなあって思うよ思う。貴方はスパダリですから(続)
そういや首のとこがスースーすると思ってたんだ、達ちゃんは自分に無頓着なのよ、真々部さんが珍しく真顔で嗜めている。ママよお前仕事は、いいのよまだ時間あるから。よっちゃんちょっと手伝って?俺にこっそり耳打ちして一緒に台所に。達ちゃんって病院の薬受け付けないから食事でいきましょう(続)
ハルちゃんはこの家に来てからキノコ類が大好きになったらしい。裏山の松茸とかもあるけど、ご近所さんから沢山貰えるんよキノコ!見た目あれだけど絶品、的な。恐る恐る口にした時のハルちゃんの顔がほんと百面相みたいでねえ面白かったん、あごめん可愛かった、よね。今じゃ毎日のように食卓に(続)
あれだよほらラップの人的な、リウこれは喜平だぞ、意外なアイテムの登場に動揺。ちょっと韻踏んでるけど。こんな高価なものいいのか?ジョンは貰ってくれの一点張り。あっちは金が安いから、嘘かまことかだがここはありがたく貰っておこう。で、つけた早速。俺は正直こういう系が大好きなんだが(続)
この子達の群れの中に入れたら、ハルちゃんの小さな呟き。設楽がこそっと俺の横で携帯の画面を差し出した。そこにはちょっとマイナーなツアーが並んでて、その中の一個を指差した。これなら一般でも行けるかと、そっかそれなら見せてあげられるかもね、目の前のハルちゃんの喜ぶ顔が楽しみだねえ(続)
千弦と米と肉はセットだからな、何だその括り。炊き立てしかもうまいこと蒸らしたいい塩梅。肉引き立ててなお主張しすぎないこの…ノンブレスモッパンはいいんだよこの際、気持ちのいい天気で、気に入りの場所で、鬼丸と一緒にこんな美味い肉と米が食える。幸せとは満ち足りること、きっとそうだ(続)
今この先の栗の林に行こうと思ってるんだけど、途中のアカマツの木のとこに松茸が。あー今年暑かったからダメかと思ってたん、で収穫するよね。そんで数分歩いて今度はなかったはずのアケビが。気づかなかったあすっげ♡で収穫。賢明な皆様はお気付きでしょうが、俺のバックパックもはや超満タン(続)
さあ秋の味覚の時期ですねえ、俺は美味しいの収穫しに裏山に籠るよ今日は。設楽の作ってくれたおにぎり持って朝からウチの裏山へ。いろんなゾーン分けて収穫管理してるからそこ行けば目当てのもの獲れるってわけよおあったまいい。ただね、そこ行くまでに数々のトラップが待ち受けているわけなの(続)
冷蔵庫に高そうな肉入ってたけどあの人たちからかな、キッチンの掃除してた鬼丸が屋上にやってきた。あ冷たい飲み物持参ですね黄色い麦の。最近伊達組の差し入れなのかうっかりなのか、色んな食材とかパンツとかがウチのに紛れるように。そういや見慣れない本もブルーレイもリビングに積んである(続)
風下で肉を焼く。空が秋っぽい、鬼丸が小さく呟いた。空を仰ぐ色素の薄い目は、高く広がる青を映す。トングを取るついでに頬に軽く掠めるキスを落とせば、珍しく微笑み返された。今日は照れないんだな、そしたら、くるだろうなと思った、そういう勘は働かなくてもいいのに。焦った顔が見たかった(続)
カナッペ風な寿司もなかなか面白そうだが、日本の家庭料理を希望していたジョンのために作ったのは海鮮ちらし寿司。好きなだけよそって食べなさい、大きめの飯碗にスプーンをつけて出してやると、イタダキマス、ジョンは撮影もそこそこに食べ始めた。遊びに来たのはリウに会いに来たのもあるけど(続)
俺のスウィートなドリームなど関係なく、休日の昼の宴が開催。もちろんリイコにも焼いただけのロースを。もうさ塩だけでいいんよ、鬼丸が雅宗先輩みたいなってるな。黄色い麦の冷たいやつの合うこと。鬼丸院長僭越ながらわたくし米が、鬼丸がニヤリ笑って無言で下行った。ウソだろ炊いてあるとか(続)
急に必要になるかもしれないから、あの一味の物は一纏めにしとくか、な入れ物も既に家中に数カ所。この際幾つあっても同じってことで冷蔵庫のお高そうなロースは俺らの飯に決定。炭火で焼いたら最高そうなんで、急遽屋上のちっさいロースターで焼肉だ。取り急ぎジャガイモや椎茸等も用意しようか(続)
カラフルなのもあるけど美味しいのよなかなか。大皿に盛ったナポリタンをテーブルに置く。ポテサラときゅうりも添えて。こういう喫茶店風のご飯でもすごく喜ばれるから作る方も嬉しい。食べっぷりもいい。和尚もう大丈夫そうですね、するとニカッと笑ってみせる和尚。口の周りケチャップだらけで(続)
相談なんだが、友人達も2人に会いたがっているんだ。全然歓迎するぞ!なあ真弓。リウはこういう時本当に幸せそうな顔をする。慕ってくれる人達を心から大切にする、それが俺の好きなリウの一面。ああいつ来てもらってもいいが、ウチでは客人は自動的に銭湯の手伝い体験付きだ。三人で大笑いした(完)
夏毛サマーカットの後ちょっとパヤパヤしてきたから、後でトリミングしてやるか。そういう思い付きを何故か瞬時に察するようで、すっと立ち上がり非常階段のドアの前に移動した。まだ何も言ってないし。笑いを堪えて干し作業の続き。中から見慣れないシャツ。黒地にメタルなドラゴン、あの一味か(続)
そういえば今朝金木犀の匂いがしましたよね、えうそ俺嗅いでない。帰りに咲いてるとこ通りましょうか、設楽が俺の荷物持って先を歩く。結構重かったんだけど、こいつは何も気にならないみたいね、前にハルちゃんの注文した10kgのお米平気で担いでたらしいし。黄色ヒヨコメッシュを追いかけて(続)
それにしてもこの二人は仲良し。ダイニングの椅子がベンチタイプてのもあるけど、横並びでそんな密着しなくても。今日は赤ウィンナー沢山てお願いしたった、やだそれ俺の大好物じゃないのいいの?真々部さんの好物だったんですか和尚、ママはそういうのが好きなんやよ、赤いの黄色いのみたいなの(続)
和尚もう大丈夫なんですか?ああ俺あ寝て起きたらなんでも治るんよ、和尚は赤ウィンナーの増量リクエストすると真々部さんのいる客間へ向かった。麺を茹でる間に玉ねぎとウィンナー炒めてケチャップを…集中してて気づかなかったけど、いつの間にかダイニングに二人がきちんと座ってた。てか気配(続)
木々の深い緑、高く澄んだ秋空、目の前に揺れる黄色、のヒヨコメッシュ。なんかいいねえ収穫の秋ぽい。収穫て。何ブツブツ言ってるんですか、んや何でもない。足元滑るんで、そう言って手を引いてくれる。これはイチャイチャそれとも介助?自称二十代寄りじゃないんですか、設楽が「もー」的表情(続)
コーヒーどうですか、いきなりベンチの隣からにゅっと伸びた手にはマグカップ。あっぶね誤飲なんとかの恐れだよ咽せなくてよかったあ、おまいつの間に、ずっとここに座ってましたが何か。ステルススキルが昆虫並みなんよ、褒められたと思って嬉しそうな目尻。いっしょにおにぎりとコーヒーで一服(続)
ありがとうな、ジョンとハグしつつリウは少しだけ遠い目。いいじゃないかリウなかなか似合ってるぞ。そうか真弓はすごい似合ってるガチで。うんまあ日頃の格好がコレだからな。鯉口シャツにダボパンツ、そのうえ喜平なら完璧じゃないか。前にリウに見せてもらった俺の写真でインスパイアされたと(続)
いい青空。ベンチで設楽のおにぎりを食う。ウェットシート付きね気がきくね、てかデカいんだよねあいつの作るやつは。それは中におかずな具が沢山入ってるから。唐揚げと卵焼きと明太子がぎゅうぎゅうに。なんで一緒にしちゃうんだろ、美味いけども。食ってるうちにわかってきた、美味いわあこれ(続)