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【活動報告/リターン紹介】瀬戸内国際芸術祭ほか(Part2)/リサーチ・取材同行

【活動報告】カテゴリでは、アートプロジェクトラボで主催したイベントのレポートや、本の制作活動に関連する活動をご報告していきます。

8月25日(日)まで「瀬戸内国際芸術祭2019」夏会期が開催されている瀬戸内エリアでの活動レポート第2弾。アートプロジェクトラボのリーダー・橋本を中心に3人のメンバーでめぐった女木島・大島・高松の3エリアの様子をお伝えします(前編/後編はこちら)。

瀬戸内の景色と一体となった作品

冬の強風から家屋を守るため作られた「オオテ」が特徴の女木島では、鬼ヶ島大洞窟や瀬戸内海の美しい景観が楽しめる。島に近づくと木村崇人さんの作品「カモメの駐車場」が迎えてくれた。港一帯にならぶカモメが壮観だ。女木島には海辺をいろどる、瀬戸内の景色と一体となった作品が多い印象を受けた。

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禿鷹墳上「20世紀の回想」

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宮永愛子「ヘアサロン壽」

「島の中の小さなお店」プロジェクトのひとつ「ヘアサロン壽」は宮永愛子さんの作品。
海に面した一席だけの美容室で、髪を切ってもらう時間そのものを作品としている。
窓辺から見る瀬戸内の景色が、額縁で切り取った1枚の絵のようで美しかった。
お店に立つ美容師・玉木ひろ子さんは、4年前から週に1〜2度島のおじいちゃん・おばあちゃんの髪を切るために島に通っていた方。「季節によって移り変わる窓辺の景色がこの場所の魅力」と語ってくれた。

料理を通して瀬戸内の文化を考察する

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昼食を兼ねて訪れたのは、EAT&ART TAROさん監修のランチを楽しめる「瀬戸内ガストロノミー」。
「料理を通して瀬戸内の文化を考察する」というテーマのもと、TAROさんがお客さんの目の前で料理を仕上げながら瀬戸内の食文化についてレクチャーをしてくれる。

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今回のテーマは「酢」。
香川は「酢」の文化が盛ん。瀬戸内の海運のおかげで流通の便がよかったこともあり、古くから各地へ酢をおろしていたそうだ。TAROさんいわく「瀬戸内は小さな魚が多く、そんな魚を揚げて酢に漬け込んだりしておいしくたべるのが上手」「魚の味が他の地域より甘い分ツンと効く酢とバランスがいい」のだそう。

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最初の料理は、お刺身と「メロン酢」。メロン酢とは、その名の通りメロンを酢に漬け込んだもの。


使われてるのは、この島にだけ成る2cmくらいの世界最小のメロンで、学名は偶然にも作品番号と同じ「MG16」。そのままだと苦くてとても食べられないため島では“クソウリ”とちょっとかわいそうな名前で呼ばれている。けれどこうして酢につけこむことで美味しいジュースとして楽しめるようになるのだそうだ。

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お魚のお刺身は、2種類の異なる酢をかけて。

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生クリームと酢をあえて作ったタルタルソースをそえた、鶏の酢煮。

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トマトとナスのそうめん(そうめんはもちろん小豆島産!)。

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デザートには、イアラの島クッキー。庭のレアンドロ・エルリッヒの展示とあわせた特製・足跡型だ。

TAROさんのレクチャーのもと地域の食材を使った料理を楽しめる、ちょっと特別な楽しいランチタイムになった。TAROさんは過去の芸術祭にも参加していて、例えば2013年の「島スープ」では、「伊吹島の特産・いりこ漁で使った網にかかった雑魚などの”副産物”を捨てずに出汁に使い、意外性のあるスープを提供してくれたのがTAROさんらしくて印象的だった」となどと橋本が過去の体験も共有した。

体験型の作品が集まる「島の中の小さなお店」プロジェクト

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リョン・カータイ(梁家泰)+ 赤い糸「ウェディングショップ」

赤い中国風装飾が目を引く建物リョン・カータイ(梁家泰)+ 赤い糸による「ウェディングショップ」。「結婚」をテーマにした作品群で、中国の結婚式の宴席や、賑やかな麻雀卓(中国では婚礼の席で麻雀が行われるそうだ)などを展示していた。
2階には、男木島・女木島の夫婦が結婚当時の記念写真を持った写真がずらり。その脇には、それぞれの結婚当時のエピソードが添えられており、島の人々の結婚観や当時の思いを垣間見ることができた。

同じ建物内には、「島の中の小さなお店」プロジェクトとしてほかにもレアンドロ・エルリッヒの「ランドリー」や原倫太郎+原游「ピンポン・シー」など多くの体験型作品が展示されていた。

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レアンドロ・エルリッヒ「ランドリー」

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原倫太郎+原游「ピンポン・シー」

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山下麻衣+小林直人「世界はどうしてこんなに美しいんだ」

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長谷川仁「的屋」

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中里繪魯洲「un… こころのマッサージサロン」

香川ゆかりの石材を知る

夕方は高松港に戻り、高松市美術館の宮永愛子さんの展覧会「漕法」へ。

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移動には、芸術祭作品のひとつでもあるレンタサイクル(山下麻衣+小林直人「世界はどうしてこんなに美しいんだ」)を利用。ペダルを漕ぐと各国の言葉で書かれた「世界はどうしてこんなに美しいんだ」という文字が車輪に浮かび上がる。

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ジュリアン・オビー「銀行家、看護師、探偵、弁護士」

まちなかにも芸術祭の作品が点在。美術館までの途中では、香川で採掘される石材を使った、ジュリアン・オビーの彫刻を見ることができた。

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宮永愛子さんの展覧会は、ナフタリンを素材とした透明感ある作品の数々に加え、今回は香川で採掘される石「サヌカイト」を使った新作インスタレーションも公開。サヌカイトは叩くと涼やかで美しい音を鳴らす石で、このときは実際に触れて楽器のように鳴らすことができた。

香川県は良質な石材の産地でもあり、瀬戸内の海運ルートを生かして全国に採掘した石を運んできた歴史を持つ。今回の新作アートを通じて、そうした土地の特色も垣間見ることができた。(前編/後編はこちら

EDIT LOCAL LABORATORY 南裕子

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