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断食日記1 決意

ファスティングすることにしたのは、ちょっとした思いつきだった。いつかやってみたいなーと思っていたし、中年期に増えた体重がコロナの自粛でさらに重くなったし、なにより、この心のもやつきが晴れそうな気がしたのだ。

インスタグラムで、酵素ジュースとアドバイスがセットになったファスティングをした人を何度か目にしていた。
とりあえず、無料のカウンセリングを受けてみたら、デトックスだの、宿便が出るだの、眉唾もののワードが次々と出てくる。あはは、と思ったけれど、相手は、一枚も二枚も上手だった。

「いつから始めますか」
始めることが大前提で、聞いてくる。そりゃあ、そうだ。無料でファスティングについて説明してくれるわけがない。
押しには弱いタチである。
「じゃあ、○日から」
ファスティングを始める前には、体を馴らすための準備食が2日、脂肪を燃焼させるためには最低日数だという断食期間の3日、それからまた体を馴らす回復食が3日かかる。
この間、体がどうなるかわからないから、仕事がひまそうな、重たい撮影や原稿書きのない期間を指定。

すぐに請求書と、酵素ジュースが送られてきた。
これで3万なんぼか、と思うと、高い。いや、高いかどうかは、実際にトライしてみてから決めよう。

しかし、だ。フリーライターの仕事というのは、いつ、どんな仕事が入るか、自分でもわかっていない。
10日前には、ひまそうだと思っていた期間にみっしり取材が入ってしまった。

「仕事が忙しくて、できそうにないんですけど」
とカウンセリングしてくれた人に連絡すると(ちなみにこの人が、わたしの断食期間をサポートしてくれた。このサポート代も料金には含まれる)、酵素ジュースの賞味期限は長いし、延期しても平気だと言う。

延期。
やろうと思っていることができないのは、脳にストレスがかかるものである。ようやくひと段落して、あしたから1週間、ひまかも!というタイミングで「やります」と連絡すると、「わかりました」って感じで、わたしの断食がスタートした。

つづく。

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