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認知科学で学習のつまづきを解明


日本の教育が直面している問題について、慶応義塾大学の認知科学者、今井むつみ教授の見解を2023年12月20日の日本経済新聞の記事に基づいてご紹介します。グローバル化やAIの進展に伴い、学びのスタイルが変化していますが、日本の教育システムはこれに追いついていないと指摘されています。

教育現状の問題点

日本の教育は、受験指向や成績中心の「特訓型学習」が主流であり、これが「主体的な学び」の妨げとなっています。 学力調査の結果が自治体のランキングに利用されるなど、評価システムの問題が指摘されています。

従来の教育方法では、生徒の学習のつまずきを解決できず、実用的な知識の習得に繋がらないという問題があります。

認知科学の重要性

今井教授は、学習の困難を克服するためには、認知科学を活用し、人の心と脳の働きを理解することが不可欠だと主張します。

「記号接地」の問題、つまり基本概念を経験と結びつけることができない状態が、学習の障害となっています。

実践的な取り組み

広島県教育委員会の依頼で、「たつじんテスト」が開発されました。これは学力不振の原因を科学的に明らかにし、解決策を提供することを目的としています。

社会全体の課題

大学生や社会人にも同様の問題が見られ、基本概念の理解不足が、学習やスキル習得の妨げになっています。 リスキリングや学び直しに注力する現代において、断片的な知識の蓄積よりも、本質を見抜く力の育成が重要です。

創造的人材育成への道

今井教授は、エビデンスに基づいた科学的、批判的思考を重視し、日本の教育を変革しようとしています。

知識の単なる積み重ねではなく、「発見と創造」に重点を置く学び方が、創造的な人材育成の鍵とされています。

この記事は、日本の教育システムが直面している深刻な問題を浮き彫りにし、教育の根本的な変革を求めています。認知科学の知見を活用し、主体的で創造的な学びを促進することは、放課後等デイサービスなどに通う発達障害と呼ばれる子どもたちの学習のつまづきにも有効かもしれません。未来に適応できる人材を育成することが日本の教育にとって不可欠と言えるでしょう。

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