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【劇評家の仕事7】入稿原稿を渡した翌日に、改めて思うこと。いくつか。
昨日の夕方、編集者に入稿原稿を送った。目次、索引、初出一覧、あとがきは先週のうちに完成していたが、問題は本文で、日曜日ぎりぎりまで直していた。本来は、一月中に入稿する約束だったから、一週間ほど遅れてしまったことになる。
今回の単行本は、この八年間、書いてきた劇評を集めている。早川書房の雑誌『悲劇喜劇』に七年あまり連載してきた『シーン・チェンジズ 長谷部浩の演劇夜話』全四十三回。加えて、文藝春秋の文芸誌『文學界』に書いた劇評四本を収めた。くわしくは、刊行時に「あとがき」をお読みいただきたいが、私なりに劇評のありかたを考えた。六十代の月日は、この本に凝縮されると思うと、感慨深い。
昨年の十月から昨日まで、手元にある原稿のデータを改稿する仕事に専念した。すでに原稿があるのだから、気楽に思えるかもしれないが、そんなことはなかった。編集者と専門の校正者の目が入っているにもかかわらず、行き届かない原稿に、われながら呆れた。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。