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【劇評352】苛酷な現実に向かい合う演劇の想像力。『Someone Who`ll Watch Over Me〜私を見守ってくれる人〜』。
世界の現実を見つめる ウクライナやガザ地区での紛争を受けて、苛酷な状況にいる人々を私たちは、映像や報道を通じて毎日見ている。双方の陣営に少なからぬ捕虜がいて、その救出は家族にとって、どれほど重大な問題であることか。 捕虜の今、置かれている状況は、どれほど残酷なものなのか。理念としては理解していても、私たちは、その現実から目をそらしてはいないか。 一九九二年にフランク・マクギネスによって書かれた戯曲『Someone Who`ll Watch Over Me〜私を見守
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まっとうな芝居だが、正しいだけではない。人間に焦点があう『Someone Who`ll Watch Over Me〜私を見守ってくれる人〜』の達成
至極まっとうな芝居を観た。 文学座有志による自主企画『Someone Who`ll Watch Over Me〜 私を見守ってくれる人〜』(フランク・マクギネス作 常田景子演出)の舞台は、レバノンの捕虜として、理由なく捉えられた三人の男性を描いている。アメリカ、アイルランド、英国出身の三人が、極限状況にいる姿を活写しているが、演出の松本祐子にブレはない。鎖で足を繋がれ、自由を奪われるとはどんなことか。執拗なまでに、肉薄している。 ガザ地区に、あるいはイスラエルに囚わ