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長谷部浩の俳優論。

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歌舞伎は、その成り立ちからして俳優論に傾きますが、これからは現代演劇でも、演出論や戯曲論にくわえて、俳優についても語ってみようと思っています。
劇作家よりも演出家よりも、俳優に興味のある方へ。
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2024年5月の記事一覧

【劇評337】ハムレットは、颯爽たる吉田羊によって21世紀に転生した。

【劇評337】ハムレットは、颯爽たる吉田羊によって21世紀に転生した。

 陰鬱な青年の悩みから、解放された。

 吉田羊主演の『ハムレットQ1』(松岡和子訳 森新太郎演出)は、ハムレット像を大きく塗り替える快作となった。

 まず、吉田羊のハンサムなたたずまいが観客を引きつける。単に女優が、男優ならばだれもが憧れる役を演じたのではない。吉田羊は、颯爽たる空気をまとっている。それは、宝塚の男役が持つどこか人工的な男性像とも異なっている。
 もし、デンマーク王子ハムレット

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