
【劇評337】ハムレットは、颯爽たる吉田羊によって21世紀に転生した。
陰鬱な青年の悩みから、解放された。
吉田羊主演の『ハムレットQ1』(松岡和子訳 森新太郎演出)は、ハムレット像を大きく塗り替える快作となった。
まず、吉田羊のハンサムなたたずまいが観客を引きつける。単に女優が、男優ならばだれもが憧れる役を演じたのではない。吉田羊は、颯爽たる空気をまとっている。それは、宝塚の男役が持つどこか人工的な男性像とも異なっている。
もし、デンマーク王子ハムレットが、21世紀に転生したとしたら、セクシュアリティを飛び越えた人物像になるのではないか。ハムレットにこびりついた定型を振り払うだけの相貌と身体をそなえていた。

左から、ハムレット(吉田羊)、オフェーリア(飯豊まりえ)
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。