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2023年2月の記事一覧
【劇評292】那須佐代子、凜による『おやすみ、お母さん』。人間の真実をふかくえぐり出す傑出した舞台。
母と娘が、容赦なく、これまでため込んできた思いを言葉にする。
マーシャ・ノーマンの『おやすみ、お母さん』(小川絵梨子翻訳・演出)は、セルマ(那須佐代子)とジェシー(那須凜)の親子の人生を、台詞劇として凝縮している。
八二年に初演され、八十三年度にピューリッツアー賞を受賞した戯曲を初めて観たとき、私はテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』を思い出した。この作品は、強烈な個性を持ったアマ