マガジンのカバー画像

贔屓といえば中村屋

36
十八代目勘三郎亡き後、勘九郎、七之助の兄弟が力を合わせて家を隆盛に導いているのは感動的でさえあります。コクーン歌舞伎、平成中村座のような勘三郎の遺産も、この世代にふさわしくアップ…
このマガジンに登録すると、勘九郎、七之助がいかに幅広く活躍しているかが、おわかりいただけると思いま…
¥980
運営しているクリエイター

#中村勘九郎

【劇評368】六法の意味を問う「きらら浮世伝」は、革命的でさえある。

 鳥屋から本舞台へ。花道のつけ際から鳥屋へ。役者の力感がほとばしる「六法」はいつも観客を…

300
長谷部浩
2週間前
7

【劇評365】新春の歌舞伎座。繭玉と鏡餅に彩られためでたき狂言の数々。六枚。

 あけまして、おめでとうございます。新年は、歌舞伎座昼の部から。 「対面」は、曽我物とい…

300
長谷部浩
1か月前
3

【劇評361】玉三郎の富姫を復活させた團子の純粋さ。『天守物語』をふたたび観る喜び…

  鏡花の世界 絢爛たる詞章で、真実の愛を語る。  泉鏡花の『天守物語』は、玉三郎が重ね…

300
長谷部浩
2か月前
11

「三田文學」秋季号に、勘九郎の『髪結新三』の悪、その色気について書きました

 「團菊爺から勘三津爺へ」と題して、雑誌「三田文學」に時評を書きました。ご想像の通り、早…

長谷部浩
4か月前
5

【劇評329】勘九郎、長三郎の『連獅子』。名人、藤舎名生、裂帛の笛に支えられ、難曲…

 勘三郎のDNAが確実に、勘太郎、長三郎の世代にまで受け継がれている。そう確かに思わせたの…

300
長谷部浩
1年前
9

【劇評328】鶴松の『野崎村』と勘九郎、七之助の『籠釣瓶』。一門の団結を見せ、よい…

 大間のやや下手側、追善興行のときは、思い出の写真が飾られる。今月の歌舞伎座は、十八世中…

300
長谷部浩
1年前
5

【劇評322】玲瓏たる玉三郎演出の『天守物語』は、本年の突出した収獲となった。

 透徹した美意識は、どこへ辿り着くのか。  泉鏡花作、坂東玉三郎演出の『天守物語』を観て、この稀代の歌舞伎演出家が、絢爛たる言葉の競演に、削ぎに削いだ美術によって、独自の時空を作っていることに感嘆した。  鏡花の生前には上演されていないこの戯曲は、レーゼドラマ、読む戯曲としてもすぐれている。特に幕開き、富姫の侍女、それぞれが、萩、女郎花、桔梗、撫子、葛と植物の名を持つ女たちが、秋草釣りを楽しむ件は、狂言綺語の応酬であり、白露を餌にするとの台詞によって、この芝居の幻想性は、

¥300

鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

100
長谷部浩
1年前
10

【劇評309】幸四郎、勘九郎の意気地。若手花形の成長を楽しむ『新門辰五郎』。

若手花形の充実が急がれる課題であるとすれば、真山青果の群像劇『新門辰五郎』を第二部の出し…

300
長谷部浩
1年前
7

【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

300
長谷部浩
2年前
7

【劇評278】熱狂の平成中村座。勘九郎、七之助が若手花形を引き立てる。進境著しい獅…

 歌舞伎に、沈黙は似合わない。  客席にある種の熱狂があってこその歌舞伎であって、コロナ…

300
長谷部浩
2年前
4

【劇評180】白鸚と勘九郎ががっぷり四ッに組んだ角力場の値打ち。

 松本白鸚と伝承について、短く書くのは難しい。  けれども、こうしたテーマですぐに思い出…

100
長谷部浩
4年前
3

【劇評195】勘九郎、猿之助、観客の胸をうつ。又平とおとくの物語が、成熟した舞台と…

 歌舞伎座は、第三部、第四部と近松門左衛門の作品が続く。第三部は、奇瑞と名跡をめぐる物語…

100
長谷部浩
4年前
3

雨交じりの午後、勘三郎の命日に、勘九郎と七之助の活躍を墓前に報告した。

 歌舞伎座の第一部、第二部を見終えて、入谷の西徳寺へ回る。  雨交じりだったのが、ようやく止んだが、冬の大気は冷え切っている。日比谷線の入谷の駅から、階段を上って表にでると寒気で身が凍える心地がした。  波野家の墓のある西徳寺は、大鳥神社のはす向かいといったほうが通りがいいだろうか。  勤務先からタクシーを飛ばせば、ものの十分だろうに、なかなか十八代目勘三郎の命日、その日に訪ねられなかった。今日は土曜日なので自由がきく。  水曜日は、勘九郎の又平を見た。今日は、七之助の『

¥100