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贔屓といえば中村屋

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十八代目勘三郎亡き後、勘九郎、七之助の兄弟が力を合わせて家を隆盛に導いているのは感動的でさえあります。コクーン歌舞伎、平成中村座のような勘三郎の遺産も、この世代にふさわしくアップ…
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#歌舞伎

【劇評289】幸四郎、七之助の『十六夜清心』に、梅玉のいぶし銀の藝を観た。

懐かしい光景が甦ってきた。  河竹黙阿弥の『十六夜清心』を通しで観る喜び。三部制によって…

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長谷部浩
2年前
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【劇評279】平成中村座。奇想天外で芝居のおもしろさがぎっしり詰まった宮藤官九郎の…

 面白い芝居を観客はよく知っている。  満員御礼となった平成中村座の第二部。宮藤官九郎作…

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長谷部浩
2年前
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【劇評272】幸四郎、勘九郎、猿之助の役者が生きる第二部。

 八月納涼歌舞伎第二部は、幸四郎、勘九郎の役者で見せる『安政奇聞佃夜嵐』(古河新水作、巌…

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長谷部浩
2年前
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【劇評271】手塚治虫ワールド満載。十八代目勘三郎のDNAを受け継ぐ清新な『新選組』。

 新しい風が、舞台を吹き抜けた。  八月納涼歌舞伎第一部は、手塚治虫原作、日下部太郎脚本…

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長谷部浩
2年前
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【劇評169】 猿之助、七之助の万事派手な「吉野山」。藝と笑いの「源氏店…

 社交の場でもなければ、消閑の場でもない。舞台と観客席が、真摯に向かい合う歌舞伎座となっ…

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長谷部浩
4年前
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【劇評180】白鸚と勘九郎ががっぷり四ッに組んだ角力場の値打ち。

 松本白鸚と伝承について、短く書くのは難しい。  けれども、こうしたテーマですぐに思い出…

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長谷部浩
4年前
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【劇評195】勘九郎、猿之助、観客の胸をうつ。又平とおとくの物語が、成熟した舞台として帰ってきた。

 歌舞伎座は、第三部、第四部と近松門左衛門の作品が続く。第三部は、奇瑞と名跡をめぐる物語。『傾城反魂香』から勘九郎、猿之助の「土佐将監閑居の場」が出た。  勘九郎の又平に猿之助のおとく。いかにもこの辛酸をなめてきた夫婦にふさわしい配役で、芝居を堪能した。  鶴松の修理之助が、竹薮に現れた虎を消す功績により、土佐の名と印可の筆を受ける件り。市蔵の土佐将監がいかにも癖のある男に作っている。帝の勘気をこうむり、山科に隠遁している体である。  鶴松はひたすら爽やかだが、名筆の絵

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雨交じりの午後、勘三郎の命日に、勘九郎と七之助の活躍を墓前に報告した。

 歌舞伎座の第一部、第二部を見終えて、入谷の西徳寺へ回る。  雨交じりだったのが、ようや…

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長谷部浩
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【劇評196】七之助、中車、猿弥が、歌舞伎の境界に遊ぶ。それにしても七之助は、勘三…

 ご趣向の芝居である。  十二月大歌舞伎第二部は、七之助、中車、猿弥による新作歌舞伎『心…

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長谷部浩
4年前
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勘九郎と七之助、五代目菊五郎ゆずりの覚悟。勘太郎、長三郎の巡業出演について。

中村屋の錦繍公演は、私たちの世代にとっておなじみだ。コロナウィールスの脅威によって、昨年…

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長谷部浩
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【劇評207】十八代目勘三郎が勘九郎に乗り移った『連獅子』。十七代目勘三郎三十三回…

 一見、関係ない話から始める。  二○○七年の三月、パリオペラ座で市川團十郎、市川海老蔵…

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長谷部浩
4年前
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勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』によせて。泉鏡花の小説から。

 勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』は、親子ならではと思う。十八代目と勘九郎、十七代目と十八…

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長谷部浩
4年前
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【劇評210】勘九郎、七之助による追善となった『猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつや…

 歌舞伎には、寺社が設立された経緯を構造として組み込まれている演目がある。『摂州合邦辻』…

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長谷部浩
4年前
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【劇評224】勘九郎、七之助、松也が作りだすドラマの余情。串田和美演出の『夏祭浪花鑑』。

 活き活きと呼吸する人間として、ひとつひとつの役を見直していく。  串田和美演出・美術の『夏祭浪花鑑』は、芝居には完成形などはなく、常に先を追い求めていく精神に貫かれていた。    夏の入道雲が、空を覆っている。  上手には明るい日差しを浴びて鳥居が見える。よしず張りで囲われた辻に、遠くから祭り囃子が聞こえる。蝉時雨が降り注いでいる。  往来する人々がいる。材木を持った男は、運び損なって、地面に落としてしまう。三味線を持った男が通りすぎていく。  神主が現れると、人々は辻に立

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