【詩】 散歩
気になっていた神社のお池は
思いのほか小さくて、
白と赤の子供の鯉が可愛かった。
地図をよめないわたしは
いつも目的地を通り過ぎてしまう。
初めて入った本屋さんは
お客さんがわたしだけ。
なんでだろう、
心が小さく固まった。
緑がおしゃべりする春の
今日は少し寒いのに
すれ違った青い半袖のおじさん。
赤いポストと青いポスト。
わたしはどっちの部屋を選ぶだろう。
スギナの上を走る
小さな電車。
緑の中を走る、緑色の電車。
選んだ一冊の本の分だけ
帰り道はかばんが重かった。
くもり空のグレーは優しい。
どちらでもいいんだよ、
と教えてくれる。
白いトレーナーのわたしがいる。
小さな街は色にあふれている。
小さな街の色にあふれている。
晴海たお