『バンオウ-盤王-』第36話「バトルロード」感想 お兄ちゃんが映ってる全ページ面白すぎる…!
◆おもしれーお兄ちゃん
9月15日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第36話が配信された。
こうして感想を上げるのは不定期で大変申し訳ないのだが、今週はお兄ちゃんが面白すぎたので書かざるを得なかった。この漫画で一番おもしれー男だけあって期待を裏切らない。表題通り、お兄ちゃんが映るページすべてが面白すぎる。
将棋の沼にハマりつつあるアンナさんを尾行するところから始まる。この変な変装も相まってか、アンナさんに「知能は高くはなく」と華麗なるブーメランをぶちかましていたところからまず面白い。おまいう!
確かにアンナさんも最初は将棋漫画らしからぬ戦闘特化キャラであり、おもしれー女だが、アンナさんからも頭と性格が悪そうって見られているんだよなあお兄ちゃん。バカ同士じゃん。
口を開くたびにバカオーラがすごいし、デンジくんがよくやるコミカルフォントで惑わされているが、なんだかんだで月山さんのことを気遣ってくれているファンブラザーなんだよなお兄ちゃん。おもしれーオーラで惑わされがちだが、ある程度の好感度を保ったうえでバカ発言していると謎の安心感ある。
◆実はイジり甲斐のある七島名人
今週大きくスポットが当てられたのはやはりお兄ちゃん…もだが、それより注視すべきはやはり七島名人だろう。なにせ、暫定ラスボスである新堂竜王に勝利した強キャラオーラを放っていたからだ。
だからといって新堂竜王の格が下がったわけではないし、寧ろ顔色を変えることもなかったのはかえって大物感を漂わせているのがポイント高い。
さてこの七島名人、今回ちょっと嫌味な印象を受けた。
全く以て嫌いではない。勝利しておきながら反省心がある謙虚さは好きだ。が、「いつもの新堂竜王と変わらない印象でした」は上から目線というのかな。少し鼻に付く感じだ。
更にこの後、「ちょっとトーナメントから加齢臭が漂ってきたけど」という発言も失礼な印象を受けてしまった。何かしら考えはあるだろうが、敵を作りかねない危険性がある。
…とはいえ、数百年生きる月山さんがその加齢臭を一気に強めているのが面白い事実になっている。仮に今後吸血鬼だとバレたら「加齢臭どころじゃねー!!」って腰が抜けるんじゃなかろうか。
そういうわけで、見ていて気持ちの良いナイスネームドをたくさん輩出してきたこの漫画で、珍しく毒気を感じさせるキャラなのだが…
この人前回女の子走りしていたんだよなあ。
前回は繋ぎ回だったので感想は書かなくてもいいかなとスルーしてしまったのだが、このシーンがあまりにも強烈で、作画によるマジ感が素晴らしかったのでガッチリ脳裏に刻まれたのだ。
今週の強キャラムーヴと毒のある発言で一気にキャラクター性が塗り替えられたようなのだが、改めて前回分を読み返すと「でもこの人女の子走りなんだよなあ」ととことんいじれるようになった。
◆人間どもを滅ぼせ!将棋で(倒置法)
そんな七島名人を見たお兄ちゃんはなんというか、クソ漫画愛好家みたいなリアクションをキメていた。すごいひねくれている見方だ。「悪役みたいなお兄ちゃんからも七島名人はアレなんだな」と、本作が本来持つ信頼に応えてくれたとも言えるのだが、「この名人好感度高いぞ!」というけなしているのか分からない発言がもう面白い。明らかにお兄ちゃんが気に入るのも納得であるのだが。
とまあ、このリアクションのおかげで七島名人のヘイトが軽減されたとも言える。変な話だが、嫌味のあるところがお兄ちゃんとわれわれ読者を楽しませる娯楽要素になったからだ。
今週一番大好きなシーン。
「人間どもを滅ぼせ元四郎!!」と魔王みたいなラスボスを振舞った上で「将棋で」と倒置法キメていたのが面白すぎる。一気にスケールがおかしくなったよ!?
「将棋で」のコマが申し訳程度に端っこにつけたのもアドリブ感あってポイント高い。仮にアニメ化したらハイテンションで「滅ぼせ!!」と叫んだ後に、少し冷静になりつつ「将棋で」と言いそうだ。
◆アマチュアへの敵視
今週ラストは、月山さんの次の対戦相手となる滝川さんが登場した。
「アマチュアの相手なんか嫌ですよ」と不服そうな表情を浮かべていて、この人も少しピリピリした印象を受ける。今週はなんともこの漫画に珍しい毒気を感じさせる回であったが…
気持ちの問題だが、すごく分かるなそれ…
どこぞの馬の骨だか知らない奴に負けるのはそりゃあ嫌だろう。ぼくだってノリノリで連戦しているところで、知らない奴に横槍を入れられてボコられるのはやはり好きではない。善戦を繰り広げて仲良しになれるならいいのだが、どのみちケースバイケースである。
アマチュアの存在は、良く言えばダークホースだ。
ぼくはこの漫画で一番好きなキャラはやはり主人公の月山さんなのだが、滝川さんが「アマチュアに負けた男」という癒えない傷をこれから刻まれるのは気の毒になれる。勝者と敗者という二つの物語が同時に築かれるからこそ、滝川さんのことを機にかけてしまいそうだ。
ただ、なんだかんだで、滝川さんも最終的に好きになれそうな期待性がある。
勿論この漫画がここまで培ってきた作劇への信頼もあるのだが、アマチュアを敵視する悲しい過去に秘められし根拠が用意されていそうな気がするからだ。その答えはどうであれ、積極的に見てみたくなる。
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