『バンオウ-盤王-』第38話「見たことがない景色」感想 月山さんは変態ですヘンタイだ!!
◆第38話
9月29日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第38話が配信された。
…ここのところ毎週感想アップしているな自分。
ぼくは基本的に「思うことがひとつふたつ程度なら別に感想は書かなくてもいいかな」の精神であり、あまりそういうのは意識したくない、「書きたくなったら書けばええやん」の精神も持ち合わせているのだが、この漫画はそういうケースが多く、今週においては「ウオオオオ!!こりゃあもう書かないと!!今週はヘンタイ!!ヘンタイ!!」とテンションせざるを得なかった。
そういうところがぼくのツボを突いてくれる漫画です。あとまあ、宣伝も兼ねている。ぼくはクソザコ読者だが、少なからず貢献できればいいかな程度のお気持ちで。ホント、毎週読んでてトクする漫画なので。はい。
◆正体バレの危機
今週も月山さんの正体に疑念を抱く描写が見られた。
個人的には「仮にバレたとしても迫害されるのかなあ?特に将棋教室とか受け入れてくれるんじゃね?」とそこまで不安はないのだが、そうでありながら「割とマズいかもしれんね…」と心を揺さぶる描写として機能していた。
これはあくまで私見に過ぎないのだが、今は少しずつ地道に疑っていくけど、将来的には心を抉るように正体をバラされる脅しをかけられたようだった。マジでバレ展開で幸か不幸かどちらに揺らぐのか分からない不安が少しずつ押し寄せてきているとも言える。
お兄ちゃんはしれっとファインプレーなのに面白さが先行されるのほんとなんなんだろうな。「全く知りませんね」と涼しい笑顔ですっとぼけているのが面白すぎる。でもこういうポーカーフェイスの達人なのが実に頼もしいお兄ちゃんやってくれている証明なんだよなあ変な話。
◆滝川さんと仲田さん
観戦記者の仲田さんは滝川さんとは知人と思わせるワンシーンが前回から見られたが、その実小6からの友人であり、かつてプロを目指していた元奨励会員だった。
滝川さんは小6なのに高校生に見間違えられたのは現実でもよくある話だからいいとして、やっぱりこわいと思われていたんだな…形相がね…
あとこの時すでに柔道をやっていることも判明。前回部屋にバーベルが見られたのでやはりと言うべきだが、今でも趣味でやっているのだろうか?
そんな仲田さんがプロになる器じゃないと悟った理由が「悔しさよりも先に魅了されてしまった」と思ってしまったのがすごく良かった。学生時代から早くもそう思っていたようだし、プロの道を諦めるのは苦渋の決断なのだけれど、仲田さんの場合とても清々しくて腑に落ちる。変な話で大変恐縮だが、推しが出来たからそいつを超えるよりも支えて応援してやりたいみたいな?
故に、観戦記者の道を選んだのが極めて正しい判断すぎる。滝川さんのファンボーイとしてなるしかないだろうなあと。
あと地味に良かったのが、小6時代は「滝川くん」とくん付けだったのが、現在は「滝川」と呼び捨てになっているのがこのふたりの距離感を察せられる。敢えて描写するまでもない呼び捨ての瞬間が想像できる。
その距離感こそが「お前なら勝てるよな?」「お前なら勝てる」と確固たる自信を寄せていた説得力の裏付けにもなっているのではないだろうか。
僅か数ページでまたこの漫画にひとり、人生を宿らせたネームドが誕生した。この漫画は本当に漫画が巧すぎる。
◆見たことがない景色
天草先生が前回ラストで言及した通り、今回の対局は月山さんにかつてないほどの苦戦を迫られる。将棋教室のみなさんからも「全然見たことがない譜面だよ!」との評判。滝川さんはここで埋もれるにはとても勿体ない逸材だ。仲田さんが彼を信頼するのも納得でしかない。
今週サブタイ回収が美しい。
九龍城を思わせる見たことのない景色は壮大で、画の力が強い。幾百年を生きる月山さんの世界が広がったみたいなのが、まだ決着を迎えていないのにひとつのカタルシスを得た気分になっていた。こういう絵を見せられてはぼくも月山さんもそりゃあ満足である。
というか、こうもワクワクしちゃうのが月山さんの強さの根拠だよな。やはり戦闘民族のソレに近いが、月山さんのスゴ味をわからせてくれている。なにより、将棋で人生を大きく変えられた月山さんだからこそ、全然こうなってもいい説得力も強すぎる。無敵じゃん。
◆アンナの名推理
月山さんの正体をとうとう見破ったアンナさん。
「将棋を指しながらニヤニヤと笑みをこぼす異常性」の時点でズッコける自信は余裕であったが、それでも真相は探りたいものだ。アンナさんがたとえアホの子であろうが、案外真意だったりするから油断できないのだ。
かつてないほどのブーメランすぎる…
アンナさんはムッキムキで将棋教室に違和感をもたらす存在だから十分変態だというのに、まさかそれをこの人の口から発せられるとは思わなかった。おもしれー女が「変態です」と言うのもすごい光景だな。
…なんだろう。なんかくやしいけど、否定できなくなってきた。
これはスポーツ漫画でも稀によくある描写なのだが、点差が大きく開いたり、エースが怪我で負傷したり、とても勝てる気がしない絶望的境地に立たされたときに笑うキャラがいる。
「こんなときこそ笑おうぜ」とピンチをチャンスに切り替える奴だ。それはそれで読者の士気を高めさせてくれる心強い先導者になっているし、そういうのは勿論ぼくも大好物だ。お通夜ムードを吹き飛ばす一転攻勢であるし、主人公チームが「挑戦者」の色をより濃くさせるのも胸熱である。
だが、冷静に考えてみると「なんでこいつ笑えるんだ…?」「不気味かよ…」「何考えてんだよ…」と気味悪がられてもおかしくない。そういう意味では今回月山さんが変態呼ばわりされても仕方ない気がしてきた。ぼくは月山さんが一番好きなキャラだというのに、なんてスゴイシツレイなことを言い出すんだ。もちろんぼくは別に気色悪いとか思ってもいないし、「将棋を指しながらニヤニヤと笑みをこぼす異常性」は言いすぎじゃねーかな!
ただ、月山さんは幾百年も将棋を打ち続けてきた将棋ジャンキー。しかも、世代によってアップデートされていくし、今回のように見たことがない盤面にワクワクしていた。これも変態呼ばわりされかねない根拠である。あと最後のコマよく見るとなんかハァハァしてるし。
まさかとは思うのだが、決着後に月山さんが将棋教室にやってきたら「きた変態だ!!」「ヘンタイよー!!」「変態おめでとう!!」「変態!!」「ヘンタイ!!」と無数のヘンタイコールが湧き上がってくるのだろうか。それを想像すると今から胸熱だしめちゃくちゃ楽しみである。
そのヘンタイはあなたたちの居場所を救おうとしてくれるんですけどね!!
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