『バンオウ-盤王-』第41話「月山の日常」感想 月山さんは気にしない&衝撃のラスト
◆特別番外編
10月27日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第41話が配信された。そちらへ触れる前に、先週配信された特別番外編の感想もここでまとめて書いておきたい。
月山さんがバンパイアハンター三銃士と邂逅してしまう導入には素直にたまげた。
この前アンナさんが22時以降の帰り道を気遣われたり大丈夫だろと信頼されていた云々からそろそろ久々にバンパイアハンターの話になるのではないか?と予感していたのだ。それがまさかこんな形で実現化とは…
…7ページしかない番外編なので、案の定お兄ちゃんの作ったクソゲーオチが用意されていたわけだが。でもこれ、本編軸でマジで邂逅させてもTAKE2のノリっぽくなっちゃうのでは?
そしてクソゲーの話題から将棋ウォーズSPコラボの話に移り変わる実質宣伝販促回だった。この漫画ならそういうのをやってくれるだろと期待していました。だがそれが思わぬところで刺してくるからもれなく笑った。
◆滝川さん
プロって大変だなあ…
将棋界でも評判は気にしてしまうんだな。棋士がネットで叩かれる風潮というのはあまり聞いたことがないのだが(引退後だがハッシーこと橋本崇載さんがやっちまったが…)、まあプレイミスを揚げ足取りされたりやる気が見え透けたりならそうなっても仕方ないだろう。アマに負けたプロの面汚し云々は…まあそう捉えても無理はないよね。「なんだあのアマやべーぞ!!」と注目が集まりそうだが。
仲田さんがネット見るなエゴサするなと忠告していたのが地味にすごく良かったです。いやもう当たり前のことではあるんですけど、こういう第二者の助言を与えてメンタルを安定させてくれるのってやっぱり大事なんですよ。滝川さんは今後も戦い続けるようで、寧ろここからが本当の物語なのだろう。ここで一時退場だろうが、物語の延長線は十分に想像できる。
◆月山さんの日常
新展開突入は一体どうなるのだろうと思ったら、ここで「月山の日常」なるサブタイとは意表を突かれた。激動の展開が続いていたので、本作で稀によくある休息回のターンか。
月山元は気にしない(ホニャララ文庫)
月山さんがアルバイトしているのは以前の番外編で分かっていたことだが、今でも続けているんだな。この後やってくるDQN客(多分作中随一のワル)といい、お兄ちゃんといい、月山さんのスルースキルがすごい。伊達に将棋でメンタル鍛えられただけあるのだろう。
だが、流石の月山さんでもスルーはできなかった。自分の存在が世間に認知されていることに。ファンもできたようだし、それ自体はぼくも普通に考えて喜ばしいのだが…
やはり吸血鬼故に、徐々に生きづらい環境と化していった。
元より「将棋教室を救う」という大目的にはリスクがつきもので、そんな身を削っていく覚悟の上で月山さんを強く応援できたのだが、今後も世間へ顔を出して将棋が続けられる将来への不安はあった。
上記の滝川さんの項にて、滝川さんが叩かれることよりも「なんだあのアマやべーぞ!!」と注目が集まるのを願いつつあるのだが、それもそれでまずいことである。月山さんの正体を暴こうとする連中とか絶対出てくるよ。お兄ちゃんなんとかして。
自分が吸血鬼であることを忘れられた。
元より対局中はあまり吸血鬼要素に注目せず読めたわけだが、ひとりの棋士となれたのは月山さん本人も意識していたのは嬉しい。徐々に世間へ注目を浴びてしまうリスクはつきものとはいえ、現在進行形でWin-Winの関係になっているんだよな。やっぱり竜王戦に出場できて正解だったんだなと。
◆衝撃のラスト
まじか………
まあ、そうなる理由は十分に考えられる。
月山さんが活躍するにつれて、この将棋教室もどんどん注目を浴びて繁栄していったのだろう。人が集まり、金も集まり、将棋教室の存続資金が十分溜まっていったのが想像できる。
別に、無理に竜王戦で戦い続ける必要はないわけではない。
できれば優勝を目指してほしいし、賞金は月山さんが自由に使っても良い。それこそ新しいPCを買っていい。暫くバイトをしなくてもいい。まだゴールには辿り着いていないが、月山さんが築いた過程は十分だった。吉報なのは間違いないのだ。
だのに、どうしてだろうこの喪失感は。当初掲げた最大の目的が突然あっさり解決されるとモヤモヤがすごい。
しんどい展開だけど、すごく面白くて巧いヒキです。
将棋が自分の生き方を救ってくれたのに、その将棋で目立ってしまった代償として生きづらくなる、自分自身を縛り付けるジレンマ。
ここからどうするんだろう。
アンナさんやお兄ちゃんが助言を与えてくれるのは想像できる。これからは自分の為に戦い続ける、それが理想だと思いたい。やがてラスボスの新堂竜王を倒したら失踪…なんてことはなく、(以前の感想でも書いたが)吸血鬼の存在が認められ、これからも月山さんは将棋を続けて欲しいわけだ。
勿論そんなイージーな優しい世界に成り立つのは拍子抜けすぎてまずありえないと思う。そのためにバンパイアハンターを抑止力めいた存在として登場させたのだろうし。だがそれでも、お兄ちゃんと本作のおもしれーギャグにすべてがかかっている気がする。
◆最終回近そうで怖いよ問題
というかね、今週めっちゃ終末感あったんですよ!
原作担当の綿引先生が3巻コメントでここで折り返し的なことを言っていたから、6~7巻くらいでの完結を予想していたわけですよ。現在は5巻終盤あたり?
今週1ページ目でサブタイ表記がなくて「あれ?」ってなって、滝川さんパート後に1ページ丸々表紙(久々だな)とサブタイ表記でほっとしたわけですよ。だけど月山さんのモノローグで「わ~なんかネガいやん。終盤ムードくせーやん」と危惧していたらあのラストだったわけですよ。負に負を積み重ねてきて不穏にさせてきたわけですよ。
PVは好調だし、だからこそ『将棋ウォーズ』とのSPコラボも実現できたのだろうし、打ち切りはまず有り得ないだろうと考えている。だとしても今週は不穏さがすごかった。
…たぶん、同じようにPVも好調であるきただりょうま先生の『ユメオチ』が突如次回で最終回を迎えるのが自分の中でデカいんだと思う。なんで終わるんだよオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?!?!?!??!?