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納得いかない伝統や風習に出会ったとき

後輩の相談メール

地方の道場で稽古している後輩からこんなメールが届きました。

「年に一度、うちの地域で大きな演武会があります。その演武会では師範に感謝の意を込めて『お礼金』を払う習慣があるそうです。

(中略)

私は入って日が浅く、まだ師範の指導も受けたことがないのですが、払った方が良いのでしょうか?」

こういう、誰かの些細な好意で始まったことが、のちに強制力を持った伝統になることがあります。特に地方だと多そうな感じです。

師範の昇段祝いのような大きな節目なら分からなくもないですが、年に一度みんなでお金を払う習慣というのは、個人的には少し変だと感じてしまいます。

まぁあまり珍しいことでもないそうですが、今回の場合はまだ指導を受けたことのない人ですので、『お礼金』の話を持ち出すこと自体おかしいです。

いったい何に対するお礼なのかと。

その後輩もわざわざ相談してきたくらいですから払いたくないのでしょう。大学以外の道場に所属するのは初めてのようで、「それって一般的なのか?」「断ったら悪い対応をされるのか?」という不安があったようです。

やりたくないことの対処法

私は、このケースの対処法としては2つあると考えます。

ひとつは『距離をとる』。もう一つは『ユーモアで乗り切る』です。

つまり、嫌なことに対して、逃げるか、それを楽しむかということです。

効果としては、前者は消耗を減らす(エネルギー、時間、お金など)、後者は何かを得られる可能性(能力、人脈、成果など)があります。どちらが常に正解ということはありません。

もしあなたが逃げることを選択すれば、あなたは何も消耗しませんし、何か得られることもありません。

逆に楽しむことを選択すれば、いろいろなものを得られますが、あなたの限りある資源が削られていくかもしれません。

今回の後輩の場合に当てはめて考えてみましょう。

その道場の伝統に乗っかって『お礼金』を払ったとして、何が得られるでしょうか。

「道場にいち早く溶け込める」という効果はあるかもしれません。悪い言い方をすれば、「組織にとって都合のいい人だと判断される」とも言えますが。

その後輩は、稽古熱心でコミュニケーション能力も非常に高いため、溶け込めるかどうかまったく問題なく、気にすることもないでしょう。

受け入れて貰えなかったら道場が悪いくらいです(笑)

とにもかくにも、後輩にとって大切なことは、まずは師範や道場のことをよく知ることです。その上で払う価値があると思うなら払えばいいと思います。

何となく払うことが一番よくない。

ひとつひとつの選択が自分にとってどんな意味があるのか、よく考えた方が良いでしょう。

逃げることが正解?

今回は逃げるという選択を推奨しましたが、基本的には逃げるが優先的に来るのは良くないと考えています。

なぜなら何も得られないからです。

あなたが一分一秒でも惜しいくらいに別のことに没頭しているなら話は別ですが、世の中のものは可能な限り楽しみ、自分の糧にした方が良いと考えます。

そんなわけで、時間やエネルギーにそこそこ余裕があれば、やりたくないこともユーモアをもって取り組むことが大切です。その後に続けるかを判断し、やはり無理・無駄だと思ったら違う選択肢を考えるべきです。

今回の件に限らず、大量の課題、しんどい部活、突然降ってくる仕事など、やらされるということはどの立場でも往々にしてあります、

ですが、それをユーモアで乗り切ることで何かを得られれば儲けものですし、そのユーモア自体があなたを強くするでしょう。少なくとも逃げるを繰り返す人に比べたら大きな差が付きます。

最近は、とにかく逃げることが推奨される雰囲気があります。それも悪くはありませんが、それが絶対解でもないことは認識しておくと良いでしょう。

バランスが大事

本部道場では様々な師範がいらっしゃいます。私が学生時代のころは全ての先生に万遍なく出ていました。

今は時間的な制約や、出ないと決めている先生もいたりで(こら)今は5名程度に落ち着いています。

全ての先生の稽古に出ていたことで得られるものはありましたし、その後に出る稽古を制限しても、変わりなく本部道場で稽古はできてます。堅苦しく感じたこともありません。

あなたがやりたいことにきちんと向き合えば、どこでもやっていけます。


…そういえば、冒頭の相談メールに関して私の回答はこうでした。

「もし俺だったら、払う必要が無いから払わない。もしかして、払わないと居にくい雰囲気になるの? 俺だったらそんな道場通いたくないけどなぁ笑」

それに関する後輩の回答です。

「ありがとうございました。今回は払わないようにします。それで居にくい雰囲気になるようなら道場辞めます。」

との返事をもらいました。その方は、3年たった今でもその道場で稽古をしているそうです。

それでは明日も楽しく稽古しましょう!!

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はるとび@合気道
大学合気道部のコーチをやっております。頂いたサポートはコーチの活動経費(交通費)や大学合気道部の寄付に充てています。