*006 ノスタルジー・インサイド
ふとしたときに、ある時期の感覚をぶわっと思い出してしまうことがある。
何も持っていなくて、将来に何の確証もなくて、だけど視界だけはやたら拓けている様な、ヒリヒリする様な感覚。
そこからずいぶん歳をとってしまって、何も持っていないのは今も同じだけれど、そいうことについて考えることも誰かと話すことも無くなって、身体を壊したり何もかも嫌になったりしなければ、充分じゃないか。とも思える様になった。
今は、そういう空気を思い出すと、泣きたい様な気持ちになる。もう過ぎてしまったものに対