源氏物語 二次創作「黄昏に見る夢」 7
こんばんは。^^
ご愛読を誠にありがとうございます!
更新がかなり遅くなってしまって、誠に申し訳ございません。(;_;)
完結まで更新できるよう、頑張ります。(;人;)
これからも、楽しんでご覧いただけるよう、更新を頑張ります。よろしくお願い申し上げます。^^
学生の時に、源氏物語を題材に書いた小説を再編いたしました。
源氏物語では「紫の上」が特に取り上げられるヒロインですが、
私は、光源氏の最初の本妻、「葵の上」の魅力に惹かれています。
この二次創作の小説は、光源氏と葵の上との間に生まれた息子、「夕霧」を主人公に、「家族の想い」をテーマに、書きました。
……原文の光源氏・夕霧より、大分「オッサン」なのでご注意下さい(汗)。
楽しんでご覧いただけると、大変嬉しいです。よろしくお願い申し上げます。^^
赤城 春輔
「黄昏に見る夢」 7
先程の、茜の光に包まれた母屋から、途端に真っ暗な闇の空間へ、流されるように、周りが移り変わった。
その真暗闇には、夕霧と父だけが取り残されていた。
暗闇の中で夕霧は、魂が抜けたように、ただ呆然と座り込んでいる。
父は、夕霧のもとへ歩み寄り、彼の足元に片膝をついた。夕霧の肩に、静かに手を添える。
「 夕霧、この夢……かな。……恐らく、母上が私と夕霧に何かをお伝えするために、私達へお映しになっているのかもしれない。だから、私は、それを知りたくて、必死になって、周りが見えていなかった。それで、つい夕霧に対して、『どうでもいい』と応えてしまって……。 」
夕霧が驚いて見上げた父は、初めて見る、優しい瞳で告げた。
「 すまなかった。 」
夕霧は心から驚いたけれど、同時に内心どこか、これも父上の本当のお気持ちなのだろうかと感じると、少し安堵した。
落ち着きを取り戻した。
父は、夕霧の横に座り、先の闇を見詰めながら、話し始めた。
「 さっき夕霧に会う前に、私は、元服(げんぷく)して初めて、私と母上が向き合った婚礼の場に居合せた。 」
夕霧は再び驚いたが、口を挟まず、黙って静かに続きを待った。ふと、頭に雲居の雁のお顔が過ぎる。
父は、小さく息をついた。
「 私も最初は驚いたが、その時、急に母上のお声が響いてきて……。若かった頃の私が去った後の、母上のお声も……。
しかし、その時、私が母上のもとへ駆けて、会って話をしようとした時、急に目の前の空間が流れて、乱れて……。気が付けば、高欄の下で夕霧が横たわっていた。
……とても、驚いた。どうして、夕霧がいるのだろうと。 」
父の最後の言葉が深く心に突き刺さり、微かに目を反らした。
「 しかし、同時に私は、これは母上が私に何かをお見せになりたい、お伝えになりたいものではないかと考え始めた。そうではないと、このようなものを見る事はないし、また、これは母上の言動が中心に映されている。母上と若かりし頃の私の場面だけというのも、どこか引っかかる……。 」
父と母の間から、自分一人が取り残されていくような気がして、酷く寂しい 。
父は横目で、そんな夕霧を見て、少し笑った。
「 しかし、そこに夕霧も現れたのだから、どうやらこれは、我々父子そろって、何かをお伝えになりたいようだ。
私はこれから母上のもとへ参り、母上のお見せになりたい、お伝えになりたいことを探しに行こうと思っているのだが、夕霧、一緒に来るか。 」
夕霧は、再び父に振り向き、心から驚いた。そして、心から微笑んだ。
「 私も、父上と共に参り、母上が我々にお見せになりたい、お伝えになりたい事を、知りに行きたいです。どうか、私を一人、置いていかないで下さい。 」
また、ほろりと自分の気持ちが口に出てしまったが、今度は止めようとは思わなかった。父も、夕霧に微笑み返して、「 ああ。 」と応えた。二人は、共にその場に立ちあがった。
再び空間が流れ始め、夕霧が気付くと、また母屋の中で、父と共に立っていた。夕霧は、ここで自分達が母上のお伝えになりたい想いを素直にお聞きして、知る事で、親子三人の仲が良くなる事を心から望んだ。
対照して、父は怪訝な顔つきをしていた。
続きます。