読書感想文の思い出
実家にある自分の荷物を整理していたら、中学時代の読書感想文コンクールの盾が出てきました。
ありがたいことに、毎年入賞の盾をいただいていた読書感想文コンクール。
本を読むのと文を書くのが大好きな私にとって、読書感想文は得意な方でした。
とはいえ、楽しい夏休みに出される宿題だったので。
遊びに部活に、他の宿題もこなさねばならず、なかなか読書感想文のために本を読む時間をつくるのは大変でした。
私の場合、何日かかけて、とぎれとぎれに読んでいき、最期に感想をかくのは、性にあわず。
感想文を書くなら、一気に1冊読み、すぐに感想文を書きたいタイプで。
そうでなければ、感動や印象をあたまにとどめておくことが難しく。
できるだけ、抱いた感想を、ホヤホヤのまま原稿用紙に著すのが、一番よい文がかけました。
だから、読書感想文の宿題をするには、あらかじめ「この日は丸一日本を読むぞ」と決めてかかります。
そして、その日は数時間ぶっ続けで、ひたすら本を細部まで読み尽くし、没頭します。
いつもの読書は、軽くサラリと何日かにわけて読んでいくのですが。
感想文を書くこの日は、本の世界に没頭するため、机にお茶とお菓子を事前に用意し、できるだけ席を立たなくて良いようにしました。
選ぶ課題図書は、自分が知らない世界について書いてあるものをセレクト。
(戦争についてやルポっぽい、どちらかというと物語より社会派の小説でわかりやすそうなもの。)
そして、あとはひたすら読んでいきます。
読書感想文を書くためによむというより、いかにその本を120%楽しめるか?味わい尽くすか?という意識で読んでいくと。
その世界にどっぷりとはまっていくのが自分でもわかります。
座っている椅子と自分の体がひっついて、うごけないような感覚になって。
その本の世界に体が移動してしまったような。自分が実際にその中にいて体験しているような感覚になります。
すると、戦争の話などは、汗がびっちょりと出てきたり。心拍が速くなったり。
逃げる場面では、全力疾走したように疲れを感じたり。
本を読んでいるのに、まるでアスリートのような体験をします。
読後もしばらくは、その世界から抜けきれず。主人公の面影を背負ったまま、原稿用紙に向かいます。
まずは下書きで、主人公の気持ちや喜びや怒り、悲しみを書き出し、そこへの感想を添え。
次に一番自分が強い衝撃や感動を感じた場面と、そこへの感想を書き留め。
最後に、本全体を通して、自分がそれまで知らなかったけれど新たに発見したり気づけた教訓を書きます。
それらを、何度も何度も書き直しながら、どの順番で書いていくと、本の内容を知らない人にもわかりやすいか考えていきます(構成をととのえる)。
※冒頭で、強く印象にのこったシーンの描写を書くと、感想文の読み手を引き込みやすい
全体の配置が決まったら、どんな言葉を使って感想を説明するか、自分に一番しっくりくる言葉をあれこれあててみて。
(たとえば「面白かった」という言葉を一度も使わず、おもしろかったということがわかるようにいろんな言葉に言い換えて書いてみると良い。)
同じような内容がくりかえされているところは、削って。(推敲)
それで一応、親などに読んでもらい、意味がわからないところや、説明が足りないところなどがないか聞きます。
それでまた直して、わざと1日放置して。
翌日、冷静になった頭で再チェックし、自分で納得できたら、清書をして完成です。
そこまで徹底して作品に没入するから、読書感想文をかくのはとても疲れます。
(正確に言うと、よむのが疲れ、書くのは無我夢中だからむしろ爽快感がある。)
だから、いくら本好きでも、読書感想文をかくのは、覚悟がいるというか。
この日は疲れるぞー、と覚悟してのぞみます。
でも、普段は自分が好きなテイストの本しか手に取らないので(基本ハッピーエンドの本が好き笑)。
読書感想文の課題図書で、シリアスなものや、重いテーマのものも読めたのは、非常によい体験でした。
後に、この文章力が、入試や仕事で役立っていきましたし、大事な経験だったのだと思います。
そんな私の子は、作文大嫌いなのですが…(笑)。
あまり「書かなければ」と思わずに「こんなところが面白かった」「自分ならこうすると思う」などというのを、口でいってみる、メモだけしてみる、というところから始めてほしいなと思っています。
感想文に、「不正解」というのはないと、私は思っているので。
感じたままを、他人にわかりやすいように書けるのが大事だと思います。
必ず、その人その人らしい感じ方があると思うので。
読書感想文も作文も、小論文も、それを教えて!ということだと思っています。
久々に盾をみて、そんな自分の頑張った青春を思い出しました。
あんなに本に没頭できる時間があったあの頃が、なんだか懐かしいな…
若いうちの特権ですね!
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