邂逅の果て #みんなでポエム書いてみた
強く握られた手のひらを、振りほどいた。
自分の都合で自分から掴んだ手のひらだったのに。
その手のひらの熱さが、ふいに恐ろしくなった。
そんな私をも、あなたは受け入れてくれて。
緩やかに押された背中は、どうしてだかいつまでもその場に縫い付けられたまま。
すがりついた手のひらを握り返してくれたあなた。
振りほどいた手のひらを静かに下ろしてくれたあなた。
最期のときを迎えた私が思い出すのは、おそらくあの日の空と、枯れ色の花房。
馴染みの香りがいつの間にか私の身体から抜け落ちてしまう。
いつまでも染み付いていればいいものを、勝手にすとんといなくなってしまう。
本当に、勝手なものだ。
うつくしいものが好きな人の内容物が、うつくしいとは限らない。
枯れた花の奥に命があるように、目に見えるものは表の顔に過ぎない。
あの手のひらには、二度と出会えない。
出会えなくて、いい。
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だいすーけさんのこちらの企画に参加しています。
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