【連載】月1鍼灸マニア〜#1再会の初診と私の受け入れ〜
こんにちは。
春野太陽です。
月に一度、鍼灸の施術を受けた日に更新を目指し
治療進度や体調の変化、豆知識を掲載する
この「月1鍼灸マニア」。
しかし、すでに半年以上通っているので
最初のうちは不定期で、
過去の治療についてこちらで消化していきたいと思います。
今回は、初診での鍼灸師との出会いについて。
私が絶縁して越してきた町で、見つけた鍼灸の診療所。
早速予約をとり、当日向かいました。
そして顔を合わせ鍼灸師さんから言われた一言。
「春野さんって、もしかしてあの春野先生の娘さん?予約で名前聞いた時からあれ?と思って。」
「そうです。〇〇(母の名前)の娘です。そういえば私、高校生の時にも母に連れられてここに来てたことありましたよね。私もなんか見覚えある建物だなぁって入る時に思ったんです。」
実は、私の中国人の母は、地元では有名な外国語講師でした。
中国の東北出身で朝鮮民族な私の母親は、
中国語と韓国語の2つが日常母語でした。
それに加えて日本語も超ネイティブ。
最強トリリンガル。
地元の市民会館や公民館でよくレッスンを開講してました。
鍼灸師さんの母親が、私の母親のレッスンの生徒さんだったみたいで、
その縁で、高校生の時にすでに1度この鍼灸院に来たことがあったのでした。
高校生の時は、何にも考えずにただ母親に連れられていたので行き先がわかっていませんでしたが、
まさか越してきた町が、その時に来てた町だっただなんて。
そしてこの町にたくさんの鍼灸院や整骨院がある中で、たまたま良さそうだと選んだ場所で
あの時の鍼灸師にまさか再会できるとは。
そこがまずひとつの感激でした。
母親のレッスンを受講していた生徒さんは
市内や市外問わず、かなり大勢います。
そのみんなが口を揃えて先生としての母が素晴らしいと讃えます。
「優秀!」「素敵な先生!」「さすが春野先生!」
だから、そういう母親を知る信者な人たちに
私が母親から虐待されてたなんて話をすると
「あんな教え上手な春野先生がそんなわけない」
「私たちの前では「子供が心配」っていつも言ってたわよ」
みたいに言われかねません。それはしんどい。
(実際、葬式の場に大量の過去の受講生が参列したが、そういう話をされたことがある。)
だからこの鍼灸医さんには精神疾患の現状とその理由をどう伝えようか一瞬迷いました。
でも、鍼灸師さんは余計なことは言わず、
そっと私のつらさを静かに聞いてくれました。
「私の母親は生徒だったけど、私自身は受講したことないから春野先生のことは私は正直あんまり知らないのよ。」
「家ではお母さんそんなことしてたのね。よくここまで頑張ってきたね。」
「たしかに先生としての顔だけ見て褒めてる人たちに家庭での母親としての顔の話をしてもわかってもらえなさそうで話すのに勇気いるよね。」
「うちの母親にも、春野さんが絶縁してきてこの町に越したってことは言わないようにするから安心して。」
そんな初診が始まりでした。
施術が始まると、
高校生の頃の話にも遡りました。
「たしかあの時は、娘の頭痛がひどいからってお母様が連れてこられてた記憶だけど、合ってる?」
「そうです。ずーっと頭が痛くて、そしたら急に知り合いの鍼灸師に連れてってみるって連れられて。頭痛というかのぼせるような感覚なんですけど、高校生の頃から今もそれはずっと変わってないです。むしろ小学生の頃からでした。体温計では平熱なのに、体内が熱くてだるくなる感じ。」
そして今の話もたくさんしました。
「母親が包丁を振り回す夢をよく見るんです。母が亡くなって3年くらい立つのに、いまだにその夢を見るとあまりに実際にあった描写そのもので。現実だと脳みそが勘違いするくらいで。
目が覚めた時には冷や汗と動悸が止まらなくなってて、そんな悪夢を見た日は起きた後も布団から動けなくなっちゃうんです。そのまま寝込むことも多いです。魂が抜けたみたいな。寝てたはずなのに脳内で戦ってたから頭が疲労困憊で気力が出ないというか。思い出すだけで足が震えて立てないみたいな。」
「父親とこの間絶縁もしてきて、そしてこの町に来て、市役所にも警察にもちゃんと頼って住所がバレないように手続きしてきました。
だけどそれでもまだ怖いっていうか、たまに急に不安がよぎるというか。
とりあえずのらりくらりかわして穏やかな形で絶縁してきたけど、突然何かの拍子に逆上してきて居場所特定してきて家に押しかけてくるんじゃないか。逆恨みして私の人生まためちゃくちゃにしてくるんじゃないかって。
父と弟が私の家に押しかけてきて私を殺そうとしてくる夢も見ました。本当にそれが起こったらどうしようって怖くなります。」
鍼灸師さんは言ってくれました。
「夢にまで出てきて苦しめてくるなんて、そうとう今までの出来事がトラウマだったんだね。」
「すごく身体全体が張ってて、筋肉も固まっていて、過緊張状態で長く生活してきたっていうのも触診で伝わる。エネルギーもすごく不足してて、もはや枯渇状態。腎だけ欠けてるとかじゃなくて、全体が全部足りてない。最低限の呼吸して寝て生きる分のエネルギーだけしか残ってないって感じ。すごく周囲の人や環境に対しての反応が過敏で、必要以上に多くのエネルギーを消費して生きてきたんだね。
まずは全体の底上げを少しずつしていかないと。
真面目な性格してるししっかりした喋り方してるし、そういう人だからこそ心が傷つきやすいのは太陽さん見てて分かるよ。」
「そんなこと、起きないのがもちろん一番だけど。もしも、本当に親や弟が家に押しかけてきたなんてことが起きたら、いつでもうちに逃げてきな。力になれるかわからないけど、かくまってあげられるから。」
これらの鍼灸師さんの言葉を聞いて、
・いかに自分が枯渇したエネルギー不足のまま気づかず無理していたのかということ
・父や母と離れてもいまだにトラウマや過緊張からほぐされていない状態であること
・今の体調も今の家族の事情も全部受けいれて治療してくれる鍼灸師さんだとわかったこと
・もしものことがあってもここにくればかくまってくれて身の安全を確保してくれること
これで、気づきと安心感を得られました。
この初診でいろいろと赤裸々にお話ができたおかげで、
悪夢や被害妄想などのどうにもならない不安が少し減り、
また生活態度についても「不足してるエネルギーをこれ以上枯渇させないように」と
無理をしない生活を心がけられるきっかけになりました。
初診での施術師とのファーストタッチって
かなり大事ですよね。
どこまでの相談に対応できるか
私との相性がいいかなど
最初の時間がどれだけ濃密で充実するかで
その後の診療も進度や理解度が変わってきます。
私はこの始まりのおかげで
信頼関係を太く繋げることができ
今もいろんな情報を共有し合いながら
心身不調の改善がとてもよく進んでいます。
次回、#2の連載は、
この初診でお話しされた
「人それぞれ違うエネルギーの器の大きさ」
についてです。
お楽しみに!
2023.07.04(tue)
春野太陽