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たかがアホ毛、されどアホ毛

いつだったか、娘に「見たい」と言われて入ったPLAZA(プラザ)で、画期的なアイテムに出会った。

それは、「アホ毛直しマスカラ」である。


気になる存在

「アホ毛直しマスカラ」は、名前のとおり、頭のてっぺんから飛び出す髪の毛を押さえるための、ヘアスタイリング剤だ。

「へー!こんなのあるんだねー」

親子そろって興味津々。テスターがあったので、手に取りクルクルとキャップを外す。

見た目は通常のマスカラと何ら変わりない。娘とワクワクしながら順番に使ってみる。

テスターの先を、頭のてっぺんにひと塗り、ふた塗り……。

「わ!ほんとにアホ毛が消えた!」
「ママ、これいいやん!買おうよ」

親子で大興奮!

でも、買うかどうかは値段次第かなあ。パッケージをひっくり返して金額をチェックする。

約1200円。

何とも微妙な価格設定だ。

うーん、今日はやめておこうかな。
もともと買う予定なかったし、アホ毛なんて家にあるスタイリング剤でも何とかなるし。

そう自分に説得して、家に帰った。

思いがけない再会

私は100均が大好き。だって、「110円で買えるしあわせ」って最高じゃないの。

でね、ダイソーだったか、セリアだったか。再会してしまったのです。アホ毛直しマスカラに。

目にするまで、存在すら忘れていた。

でも。

110円だったら試しに買ってみてもいいかも。
ああ、だけど、アホ毛のためにお金使うのも何だか悔しいなあ。

私は財布の紐がかたい。「お金を払ったのに、失敗するのは嫌だ」そんな気持ちがあるからだと思う。今回もいろいろ理由を考えて、購入を見送った。

アホ毛に振り回される日々

ひとりで映画館に行くとき、娘とショッピングモールに出かけるときなど、おしゃれしたい日は、ハードタイプのヘアスプレーを吹きかけたコームでアホ毛をなでつけるのが、私スタイル。

が、しかし。

家を出るまでは、きれいに収まっていたはずなのに、出先のトイレで鏡を見ると、アホ毛たちが愉快にダンスを踊っている。

一回気になると、そのまま引きずってしまい、テンションは半分くらいに。

アホ毛ごときで、気分を左右される自分が情けない。でも、しょうがない。気になるものは気になるんだから。

アホ毛がないしあわせ

Webライターのオンラインサロン「Webライターラボ」のオフ会当日。会場に向かう前に、私はダイソーへ立ち寄っていた。

決めたのだ。「今日こそはアホ毛直しマスカラを買う」のだと。

オフ会が始まる直前にトイレに行って、さっそく使ってみる。約1200円のアホ毛直しマスカラは使ったことないけれど、110円でも十分なアホ毛押さえ力!(感動)

よし。すぐ左右に分かれてしまう前髪にも、念のため塗っておこう。

その日、オフ会を楽しんで家でお風呂に入るまで、アホ毛たちは大人しくしてくれていた。

こんなことなら、早く買えばよかった

そう思いながらも、私は最高にいい気分だった。

アホ毛問題の解決後に思うこと

人のアホ毛なんて、誰も気にしていないことは知っている。

これは、自分自身の気持ちの問題だ。つまり、メンタル面に関わる重要な問題なのだ。

アホ毛があるとき
ただそれだけで、ため息が出るし、出かけたり人に会ったりするのがおっくうになる。

アホ毛がないとき
ただそれだけで、こんなにも心が晴れやかで、自信をもって人と話せる。

なんて私、単純なんだろう。ま、そんなところも、嫌いじゃない。

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