歯科矯正で見つけた、未来の笑顔への“投歯”
小学生の頃、前歯が2本同時に抜けました。
新しい大人の歯は大きく、抜けた場所に収まることができなかったので、前後にずれ、1本は前に飛び出す形に。
それから、写真を撮る時は、口元を隠すのがクセになりました。
冬場は特に隠しやすい。マフラーやタートルネック、ジャージのチャックを上げて肩をすくめる感じで。
あとは、当時流行っていた裏ピースで口元をカモフラージュ。
今思えば逆に目立つんですけどね。当時は気づかなかったんです。
なら口を閉じれば?と思うかもしれないですが、閉じても1本だけ顔を出しちゃうんですよね、目立ちたがり屋さんなので。
でも、だからといって、笑わない暗い子になった訳ではなく、鏡や写真にうつる自分だけが嫌いになっていった感じです。
結婚式への焦りと、夫の励まし
大人になると多少は気にしなくなったものの、結婚式を控えたことで再び歯並びが気になり始め、矯正を決意しました。
結婚式の1年前から治療を始めましたが、想像以上にガタガタで、全く終わる気配はなし。
裏側矯正で見えないものの、正直、結婚式に間に合わないなら矯正しなくて良かったんじゃないか…と感じていました。
でも、夫が言ったんです。
「間に合わなくても無駄にはならないんじゃない?これからは子供の前で堂々と笑えるママになればいいじゃん」と。
妙に深いことを言うじゃないかと驚きつつ、確かに「やって無駄なことなんてないな」と思い直したのでした。
矯正で気づかされた、歯のある幸せ
矯正中、想定外に苦労したのは「思うように話せない」こと。
滑舌が悪くなり、電話応対では噛み噛みになってしまい、器具が付けたての頃は「…代わってもらっていい?」と同僚に助けを求めたこともありました。
また、器具に食べ物が挟まったり、硬いものを避けたりしているうちに、頬がどんどんこけていき、「体調悪い?」と心配されたことも。
ですが、もし矯正せずに歯並びの悪いまま虫歯だらけになり、いずれ歯を失ってしまったらと考えると、ゾッとしました。
思うように「話せなくなる」「食べられなくなる」といったある意味、歯を失った未来の疑似体験ができたんですよね。
改めて歯の大切さを身に染みて学んだ出来事になりました。
装置が取れた瞬間、笑顔の未来が見えた
矯正が終わったのは、それから3年後でした。
私は妊娠9ヶ月の臨月間近。
やっと装置が取れた時、夫の言葉がまたよみがえり、これからは堂々と笑って子供と写真が撮れる未来が見えて、心から嬉しかったです。
それ以来、歯並びが悪いことで悩まされていた慢性的な頭痛や肩こりも和らぎました。
以前は歯医者へ行くといつも虫歯が見つかっていましたが、今では定期検診で「よく磨けてますね」と褒められるまでに。
何より、「歯隠しポーズ」を卒業して、思いっきり笑顔で写真を撮れるようになりました。
まあ結局、子供の写真ばかりが増えていくのですが。
それでも、ふとした瞬間に自分の笑顔も映っているのが嬉しいんです。
未来の笑顔のために“投歯”を
この経験を通じて、私は「未来の自分への投資=投歯(とうし)」の大切さを実感しました。
歯並びを整えたことで、単に見た目だけでなく、健康や日常の楽しさまで変わることを実感したのです。
今では、毎日フロスや歯間ブラシを使いセルフケアをしながら、歯医者での定期検診も続けています。
これからも、将来の自分が笑顔で健康に過ごせるよう、今ある歯を大切に守っていきたいな、と改めて思いました。
4本抜歯したので、一層厳しい戦いにはなりそうですが、その分だけ努力を惜しまず続けていきたいです!