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時を止めてなお、歩みはじめた足音は消えずに~カレン・カーペンターへの追想

Carpentersの曲を聴いた事がありますか?
20才前後の方なら、テレビCMやドラマのタイアップ曲でそのmelodyにふれた方が多いのでしょう。
私は子供の頃、彼らの曲からアメリカの風を知りました。 



 
私が本当の意味でCarpentersのファンだと自覚したのは、残念でもあり、恥ずかしい事でもありますが、カレン・カーペンター逝去後の事でした。カレン・カーペンターの軌跡は各種メディアで取り上げられているので、ここではその悲劇性について殊更ことさらに取り上げる事はしないでおこうと思います。

Carpentersの魅力は、リチャードという卓越したメロディメーカーの力量と、カレンの歌声。その、少しハスキーで健康的な艶を持つ歌声は、聴く者の心に爽やかさと微かな切なさを伴って優しく届きます。その比類なき歌声は、彼らがデモテープを持ってメジャーデビューを目指していたカレンのハイティーン期に既に完成・成熟していた「音」だったのです。

とあるテレビで、その「10代のカレンの歌声」に触れた時、私は圧倒されました。誰よりも愛を求め、焦がれ、それに手を伸ばすことの出来ぬ繊細で臆病な。そして、それを越えた希望を歌うBalladeに。

Carpentersはアメリカ良き時代のPOPSそのものである。
それは賞賛され、又、(大衆・俗的と)批判もされました。その苦悩はリチャードにもカレンにも長く続き、1983.02.04を迎えることとなります。

高校を卒業し、社会人として危なげな一歩を踏み出したばかりだったその時の私が思ったのは。

「もう止まっても良かったのに。歌ってくれなくても、笑っていてくれれば、カレンが。これじゃ、いつか貴女の歳を追い越しちゃうじゃない、私」

そんな幼い心にも、歌だけは優しく包み込む様に流れていました。

Carpentersのメロディーに触れたなら「あ、綺麗な曲だ、好きだな、これ」、そう思って欲しいと思います。カレンが一番それを望むはずだから。

カレンへ、そしてアメリカで今も活躍するリチャードへ。
Carpentersの音は日本でStandardになりましたよ。気付けば世紀も変わりましたね。未来だと思っていた今の時、貴女の歳を追い越してしまいました。けれど二人の音が私の中で消えることは決してないでしょう。
だから、カレン。
そこでは、ただ風に身を任せて笑っていて下さい。もし、一目える奇跡があるのならば、ハミング程度は聴かせてくれると嬉しいですが。

遠い極東の地より、名もなき一人のファンの感謝をここに捧げます。

 『WE'VE ONLY JUST BEGUN』、そして『I NEED TO BE IN LOVE』。
                     (Carpentersの曲名より)



11時24分追記。このような素晴らしいアルバムがリリースされています。


注:今回記事のヘッダー画像は私所有の『Gold Carpenters Greatest Hits』MP3データの情報タグ(ID3 タグ)、その画像の色を反転させたものです。

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春永睦月
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