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好きな気持ちに行き止まりはなかった|日記(1/1-1/3)

1月1日(水)
風邪気味の身体を引きずって起きる。
大晦日のうちに仕込んでおいたお雑煮となます、かまぼこの飾り切りを用意。おせちがあまり好きじゃなかったから今年からなしにしたけど、朝の胃袋にはちょうど良い。

夫がのんびり起きてきた時にはすでに食卓の準備ができており、ちょっと手伝って欲しい気持ちもあったので「私、お母さんじゃないよ」と言う。
気を取り直して年始の挨拶をしながら二人でお雑煮を食べる。

便秘と鼻炎で身体がやられていたので、午後は気分転換をしに少し遠くまでお散歩。湖に鴨が泳いでいたのでしばし眺める。黒色の鴨が夫に似ていた。
鴨たちは基本集団行動をしていたが、夫に似ている鴨は一羽で逆走していた。「二次会に行かないで帰る僕みたい」と夫が言う。

家に帰るとポストに従姉妹から結婚のお知らせの葉書が届いていた。自然な笑顔で旦那さんと映った写真が印刷されており、自分たちの見栄えではなく"らしさ"を優先できるところがいい。おめでとう、とLINEを送る。

さらに叔母から、「新年会の際に祖母に渡すメッセージカードを書いて欲しい」と手紙が送られてきていた。
大好きな祖母のため似顔絵やメッセージを書いていたら、ベッドに入るのが結構遅い時間になった。

今日は三食お雑煮だったけど、夫が飽きずに食べてくれてよかった。


1月2日(木)

まだ風邪気味だし便秘だけど、夫と初詣に行く。
身支度をして、いざ三島大社まで。

ヨルシカを聴きつつ、きらきらした海を眺めていたら意外と早く最寄駅に到着。有名な神社だけど人通りは想像より少なかった。
三島はお店の数や自然の多さなどがちょうど良い。

三島大社の参道はお参りするために長蛇の列ができていたが、たまたま脇道から入ったのでワープして参拝することができた。
「健康的に好きなことを極められますように」と祈る。

占いを信じない夫だが「年始は例外的におみくじを引いて良いことにしている」という謎ルールを持っていたので、二人でおみくじを引くことに。

結果は二人とも末吉。
しかも内容がボロクソ書いてあったので、すぐ結んだ。「末吉だけど一緒でよかったね」とうまく話をまとめながら神社を後にする。

次は彼がずっと行きたかったという源兵衞川へ。透明度の高い水は透き通っており、水草がそよそよ揺れているのがはっきりと見えた。
ここでも鴨たちが泳いでおり、二日連続の鴨を眺めながら川の上を歩いていく。

自然に癒されたあとは、行き道で見かけたイタリアンへ。ヴェネツィアを意識しているのか川沿いの橋を渡ったところにある。

奇跡的に二席空いていたので、横並びに座る。
好きなパスタを選んだあとに具材を選ぶという斬新な注文方法。どうやらワンオペで作っているらしく出来上がるまでかなり待ったが、前菜のきまぐれサラダがとっても美味しくて感動した。

メインには魚介のアーリオオーリオを注文。しかし到着したのはあさりときのこのパスタだった。まさか魚介に山の幸も加わっていると思わずに戦果。
きのこがどうしても苦手なので、夫のカルボナーラにきのこ狩り並みにどんどん乗せていく。
嫌な顔せずに私の嫌いなものを食べてくれる夫に感謝。

帰りに「ginger books」という独立系書店に立ち寄らせてもらう。
写真集や詩集などを中心に置いている書店だが、2008年発売の初音ミク特集のユリイカが置いてあったのが激アツだった。キャッチコピーは「ネットに舞い降りた天使」。

三島を出たあとは、実家の犬に会いにいくことに。
大好きな犬を抱っこさせてもらい、新年の挨拶。
母が年末に義母と電話で話していたようで、「息子の結婚相手が木月さんでよかった」と言ってくれていたそう。なんだかとっても嬉しかった。

しばらくしてから夫と近くの海まで犬の散歩。
彼にすっかり懐いて、全然吠えなくなっていた。夕暮れ時の淡い海で彼と犬の散歩をしている状況に幸せを感じる。
記念に写真をいくつか撮っていたら、犬が夫と自撮りした風の写真が撮れてめちゃくちゃ笑った。

車で家に送ってもらって帰宅。
実家でもらった「つるとんたん」のきつねうどんに卵とほうれん草、三つ葉を乗せるとお店みたいになった。
食べながら何度もレンゲをスープに落とす私に「反対に置くと落ちないようになっているよ」と夫が教えてくれる。
この間は「歩行者用信号についている点々は、表示されている数で後どれくらいで信号が変わるかを示している」という知識を教えてくれた。
でもこれに関しては割と一般常識らしく、「ずっとそういうデザインだと思っていた」と言ったら引かれた。


1月3日(金)
怖い夢を見た。
初夢には諸説あるが、1月2日から3日にかけて見る夢という記事を読んだことがある。
隣で寝ている夫に「どこにもいかないでね」と声をかけた。

身支度をして今日も二人でお出かけ。東京都現代美術館まで坂本龍一の展示を観にいく。
電車は箱根駅伝の観戦をする人々でごった返していた。
イヤホンをしてジェーン・スーの『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』を読む。
最近、読書したいのに中々ハマれない日々が続いている。それでもスーさんの文章は面白かった。

東京メトロに乗り換える時、夫が「メトロ同士で乗り換える時は、オレンジ色の改札を通りな」と教えてくれた。さすが実家が東京なだけある。

最寄りの清澄白河駅に着き、まずは腹ごしらえ。
夫が調べてくれた「iki Espresso」というカフェへ向かう。静まり返った正月の住宅街で一際目を引くような洗練されたお店だった。

私たちが着いた頃にちょうど後ろからお姉様二人がやってきた。店員さんに案内された席もほど近い。二人ともザ・女子といった声で「〇〇くんは頭が良くてかっこよくて〜」と会話しており、違う世界の人間だ…と思う。

モバイルオーダー式のメニューを見て、私はチキンバーガーセット、夫はボロネーゼのトーストをそれぞれ注文。
待っている間に、今度は隣の席の人の会話に耳を澄ませる。
こちらはマッチングアプリ初回デートっぽいが、女性が席に着いたいなや「見てください、このタトゥー」と足首を見せていたり、男性が店員さんを呼び出し注文を修正したりするなど、中々癖が強い。
なんてことない顔している目の前の夫も、絶対隣の会話を聞いているはず。

そして注文したハンバーガーを見てびっくり。めちゃくちゃ大きい。

夫に食べ方をレクチャーしてもらいながら口に運ぶと、今度はそのおいしさにびっくりした。
チキンにはなんとキムチマヨネーズがついており、韓国風ハンバーガーのような味がする。
おいしくて無心で齧り付いていたら、ハンバーガーの具がずれてしまった上に、口と手にはマヨネーズ。
デートで食べるべきでなかったか…と思ってしまったが、夫が「僕のお手拭き使っていいからね」と差し出してくれたり、「君が食べきれないのを見越して僕はトーストにしたんだ」と教えてくれたので、その優しさにますます好きになってしまった。
実際食べきれなかったので感謝。(一時的な食欲でメニューを選んだことを反省)

都内近郊にお住まいの方にはぜひ行ってほしいと思うほど、おしゃれさと食事の美味しさのバランスの取れたお店だった。

美術館まで歩いている時、ずっとカフェにいたお客さんの話で盛り上がった。こういう友達みたいな話ができるのもいい。
夫が「一緒に入ってきた女性二人は、絶対パニーニとか頼むタイプだと思った」と言っていて面白かった。迷わずハンバーガーを頼んで山賊みたいに食べる女の方を好きになってくれてありがとう。

「正月に坂本龍一展を観る人はいないだろう」と予想して現代美術観に行ったら、老若男女問わずたくさんの人が来ていた。
それだけ多種多様な人々に彼の音楽が愛されていたことを知る。

展示自体は映像作品が多めだった。それも美術館で流すにしてはかなり長い作品ばかりで、みんな体育座りして鑑賞。付き添いできてくれた夫がつまらなくないか心配だったが、真剣に観ているようで安心した。

途中、東日本大震災で被災したピアノのインスタレーションがあった。
天井には雪の降る映像が流れており、室温も低く設定されている。
「自然に還り、モノ化したピアノ」をテーマにしていたが、鑑賞者は基本鍵盤の方から眺めていて固定観念を取り払うことの難しさを感じた。

いくつか作品を観る中で特に好きだったのが、坂本龍一の最期のアルバム『12』と博物館に展示された剥製の映像を組み合わせた作品。
音の重厚感と儚さが、死してもなお展示されてしまう動物たちの訴えにも聞こえる。

全体を観るのに三時間近くかかったが、最後の方にあったインスタレーションがとてもよかった。
霧や照明の当たり具合で天気が変わるように作品が変化する。静かに寄り添うピアノが心地よく、ずっとここにいられると思った。

外に出るとすっかり夜になっていたので、急いで地元まで帰った。

家に帰ってそのまま夕飯のカレー作り。夫は今日お疲れだと思ったので、私が作ることにした。
いつも丸一日外出した日はお弁当を買ってきたりしたけれど、お正月の余り物でちょうどカレーが作れそうだった。
程よく疲れた体でも料理はできて、充実した気分になった。
なますを福神漬け代わりにしたらとっても美味。

ご飯を食べた後は『あいの里2』を最後まで一気見。ぎたりんの歌に、あやかん並みに泣いてしまった。強がらなくていられる関係こそが愛だと私は思う。

寝る前に夫とゆっくり過ごして、一緒にお風呂に入った。
冬休みであまりにも一緒に居すぎるとイライラするかなと思ったけど、好きな気持ちが増している。

彼に対しては「もう好きの最高値までいったな」と思っていたものの、好きな気持ちに行き止まりはなかった。

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