『桜のような僕の恋人』涙が枯れ果てる純恋愛作品……
今回は、宇山佳佑さんの恋愛小説『桜のような僕の恋人』について書いていきたいと思います。
恋愛物には無関心という方も、まずはこちらの記事を最後まで読んで頂けると喜びます。
あらすじ
美容師の美咲に恋をした晴人。
彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人になる。
しかし、幸せは長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は……。桜のように儚く美しい恋の物語。
(裏表紙より)
美容師の美咲に恋をする晴人は彼女に小さな嘘をつく。
やがて、美咲のカットミスが原因で二人はデートに発展していくのだが、デート中に嘘を付いたことを告白し、美咲から叱責される晴人。
嘘を現実にするため、美咲に相応しい男になるため、晴人はカメラマンという夢に向かって再び走り出す。
そして、そんな晴人の姿に美咲も惹かれ、二人は恋人同士に。
しかし、幸せな時間はそう長くは続かなかった。
美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病「ファストフォワード症候群」を発病。
治療法はなく、発症から一年足らずで老人になり死に至るという病気。
病気は非情にも二人の運命を切り裂いていき…
君と過ごした全ての季節を、僕は忘れない。
読むほどに涙があふれだす痛切な恋物語。
小宮山の感想
本当に泣ける涙があふれ出る作品、というのがこの作品の一番の感想です。
序盤は二人の若者のどこか初々しい恋模様が描かれていて、にやにやしながら物語を楽しむことができました。
大好きな美咲に真っすぐに思いをぶつける晴人と、そんな晴人に惹かれていく美咲。
”恋”っていいな~と思わせてくれるような入りからスタートした本作品。
物語が大きく動いたのは、美咲が自身の難病を知ってから。
もうここら辺からは涙なしには読み進められませんでした。
美咲の決断に涙して、
兄の思いに涙して、
周りの人の温かさに涙して、
辛い病気の現実に涙して、
残酷な運命に涙して、
もうどれだけ泣いたかも分からないくらい涙を流し、気が付けば本を読み終えていました。
多分、本作品がここまで泣けるのは、いろいろな感情に揺さぶられるからなのかと。
悲しさや残酷さというのはもちろんですが、温かさや優しさ、そんな要素が散りばめられているのも読み手の心を突き動かすんでしょうね。
特に、美咲の兄の妹を思う気持ち、不器用さには、毎度泣かされちゃいました(笑)
大切な人のことを一途に思い続けるというのは、本当に素敵なことだと改めて認識させられました。
また、本作品を読んでいく中で、”生”というものについても考えることができたように思います。
一分一秒、僕らは年をとって老いている。
でも、元気な僕らは、誰も自分が老いているなんて考えやしない。
日常が非日常に変わったとき、当たり前が当たり前でなくなったとき。
そのとき、僕らは初めて日常の、当たり前のありがたさを知る。
やりたいことができること、夢に向かって頑張れること、そして、生きていること。
何気なく生活していると、ついつい見逃しがちになる当たり前。実はとても尊いことなんだと本作品を読んで改めて思いました。
今回は以上です。また明日♪
小宮山はるき
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