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#異世界ファンタジー
一章/1話 勇者と剣
今から語る事は、500年前、いや1000年以上前の話になるだろう。
実際、どれくらい昔なのかなんて、詳しい資料なんてないんだけどな。
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その日はよく晴れた日だった。
朝、カーテンを開けると強い日差しが部屋入ってきた。
この部屋には一人しか居ない。この部屋どころかこの家全体に一人だけだ。
名前はサクラ。桜色の長い髪を提げ、眠い瞳を開く。
特に
一章/2話 勇者と魔法使い
何とか家に戻ってこれた。でもこの剣、台座に刺さってただけだから鞘ないね…そういえば包帯みたいな長い布があった。とりあえずこれを伝説の剣(仮)に巻き付けてみよう。あといい感じに肩から掛けて背負う形にした。
そしてもう1つ、大事なことに気づいた。
「あ、結局朝ごはん食べてないよ〜」
なるべく人が少ない時間にパン屋にでも行って買いに行こうと(うちの村のパン屋は開店時間が早いのだ)思っていたけれど、
一章/3話 勇者は身長が低いらしい
「伝説の剣を携えた『勇者様』?ですか?」
予想外の言葉が飛び出してきた。
「そう!私の故郷で古い言い伝え?伝説?みたいなのがあってね、それによると…『世界が魔に支配されんとするとき、1人の勇者が現れ、魔を打ち払わん』ってやつなの!それでね、その勇者の見た目が、『身長が低く、桜色の長髪の少年』ってことになってて、『魔』っていうのは、近頃話題になってる魔王が現れたーとかのことだと思うの。それで勇者の方
一章/4話 「行ってきます」と兄の記憶
てことでラメと一緒に魔王を倒すべく、あと『都市巡り』を完遂するべく(僕としてはこっちが主題)旅に出ることになったわけだけれど、『世界一の刀匠』に会いに行く前に世界一の長老(笑)に会いに行かなけばならない。その長老っていうのはうちの村の長老なんだけれども、何が世界一かっていうと……
「すごくてきとーなんだよね、うちの村の長老」
「ふむふむ、とりあえずそのてきとーなちょーろーさんに『行ってきま〜す』
一章/幕間1 魔王城にて
暗い、とっくに昼になっているのに暗い。そんな場所に1人の男がいた。
彼の頭には角。大きいものと小さいもので2本。
彼は何かを待っていた。黒い岩を削って作られた、不気味な装飾が施されている椅子に座って。
突然、部屋の真ん中に穴が空いた。文字通り空間に。その穴の中から不気味な仮面を付けた少年が出てくる。
「どうだ?何かあったか」
角の男が言う。
「ええ、勇者が旅に出たとのことで」
仮面の少年が
一章/5話 悪者退治とその報酬
お腹すいた。結局朝から何も食べないでもう太陽は頭上真上にいらっしゃる。
今僕達は長老と話してから、村の門を出て街の方への道を歩いている。
「お、サクラ君お腹すいたーって顔してるね〜」
わお、バレてるね。でもしょうがないじゃん朝から何も食べてないんだもん。
「ていうか、ラメはお腹すいてないの?」
「私はさっきの酒場でちょっと食べましたからね〜」
う、確かにさっき酒場では ラメの座ってた席には食べ
一章/6話 お嬢とお話
僕は今、馬車に乗っている。
僕の他に2人、(あと御者の男の人も含めるともう1人プラス)1人はラメ。もう1人はライネリーの若い女領主……あ、名前聞いてないや。
「そういえば、領主さんの名前まだ聞いてないですね」
ラメも思い出したようだ。
「ああ、そういえば確かに自己紹介がまだでしたね。私はローズ・ミランダ・ライネリーです」
お嬢さん、ローズさんが言う。
「あなた達のお名前は?」
あ、確かに僕らの名
一章/ 7話 お嬢の過去 お嬢の街
なんやかんやでローズさんと話しながら馬車は進んでいった。
「ローズさんは今いくつですか?」
ラメが聞いた。女性に年齢聞くのは失礼…いや、そういえばラメも女性だった。
「むむむ!サクラくんのほうが失礼じゃん」
うう、たしかに。
「ふふふ、私は19です。今年で20歳になります」
へ~19歳かぁ…え!?若!!
「サクラくん失礼よ…」
「あ、えと、えっと、あの、ごめんなさい…でもそういうことじゃなくて、
一章/8話 交わる伝承
…えっと、とりあえず……
「ローズさんの知り合いの方の占い?と、ラメの故郷の伝承がほとんど同じってこと?」
「うん、さっき言った故郷の伝承ね」
「私があの占い師に聞いたものとほとんど同じなのですか?」
ローズさんもびっくりしてる。
「はい。内容が『世界が魔に支配されんとするとき、1人の勇者が現れ、魔を打ち払わん』で、その勇者の見た目が、『身長が低く、桜色の長髪の少年』なんです」
「私のところの占
一章/9話 商都ライネリー
「ねね、正体って?一体その人は何者なの?ねえねえ、お~い。ねえってば!」
う、うるさい。こうなるなら言わなければ良かったかな…いやべつに言ってもいいんだけどね?ただ説明がめんどいというかなんというか…っていうかそもそも絶対信じてくれないだろうし……
「皆さん、そろそろ街に到着致します」
「わ!ほんとだ!もう見えてきましたね!」
あ、ボルジアさんの発言のおかげで何とかなった。ふう、ありがとう、ボルジ
一章/10話 宝石の帽子
店の奥にはカウンターがあり、中年の男がそこにいた。
「すみません、この帽子を買いたいんですけども…いくらですか…?」
「あ?ああ、その帽子な。ちょいと見せてみ」
店主さん?がラメから宝石の入った帽子を受け取り、付いていた値札を確認する。
「ねえ、ラメ。帽子の値段、確認してなかったの?」
「いや~、あまりにもピンときちゃったもんだからつい…えへへ」
「ちなみに、今全部でいくら持ってるの?」
お金が