一章/幕間1 魔王城にて
暗い、とっくに昼になっているのに暗い。そんな場所に1人の男がいた。
彼の頭には角。大きいものと小さいもので2本。
彼は何かを待っていた。黒い岩を削って作られた、不気味な装飾が施されている椅子に座って。
突然、部屋の真ん中に穴が空いた。文字通り空間に。その穴の中から不気味な仮面を付けた少年が出てくる。
「どうだ?何かあったか」
角の男が言う。
「ええ、勇者が旅に出たとのことで」
仮面の少年が答える
「ほう?誰が新たな勇者に?」
角の男がそう聞くと、
「サクラという少年のようです」
仮面の少年は嬉しそうに答えた。
「そうか……」
角の男は静かにそう言って、目を閉じた。
仮面の少年と違い、少し悲しそうに。
「再開、か」
角の男が呟く。
「魔王様が楽しそうでなによりです♪」
仮面の少年はいかにも上機嫌に言う。
そんな少年を見て、角の男、魔王は呆れる。
「いや貴様の方が数倍楽しそうだが?」