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Key Fantasia

14
14歳の内気で人見知りな子、サクラは、森で見つけた古びた剣を手に入れる。それは伝説の剣で、魔法使いのラメと共に魔王退治(と、その他幾つかの目標)のために旅に出る。  小さな勇気で…
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#異世界

プロローグ

プロローグ

 チクタク、チクタク、秒針の音。
薄暗い部屋で、少年は一人で本探す。
その部屋は異様だった。入口はなく、壁は全て本棚。
 そして一人の少年。無言で本を探す。自分を満足させる本を。
少年の前には壁一面の本の背表紙、もちろん背後にも。
人差し指で並ぶ背表紙をなぞる、そして1冊の本を手に取る。
懐かしいような初めて見る本を。

『key fantasia』

 題名はシンプル、しかしどこか惹かれる。

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序章 語り手から

序章 語り手から

 いや〜困ったもんだ。この物語を語るとなると、どこから始めればいいか……
だいたい長すぎるんだよなぁ。こんなに長い物語、どこの世界にも数個しか無いだろうな。
長すぎて始まりも終わりも薄れつつある、いや終わってはいないな?
そう、この物語はまだ完結してないんだよ。そしてこれから完結するかもわからん。
え?意味不明だって?仕方ない、そういうものなんだよ。
 とりあえず、最初の最初、まぁ一章ってとこかな

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一章/1話 勇者と剣

一章/1話 勇者と剣

 今から語る事は、500年前、いや1000年以上前の話になるだろう。
実際、どれくらい昔なのかなんて、詳しい資料なんてないんだけどな。

●――――――――――――――――――――●

 その日はよく晴れた日だった。
 朝、カーテンを開けると強い日差しが部屋入ってきた。
この部屋には一人しか居ない。この部屋どころかこの家全体に一人だけだ。

 名前はサクラ。桜色の長い髪を提げ、眠い瞳を開く。
特に

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一章/2話 勇者と魔法使い

一章/2話 勇者と魔法使い

 何とか家に戻ってこれた。でもこの剣、台座に刺さってただけだから鞘ないね…そういえば包帯みたいな長い布があった。とりあえずこれを伝説の剣(仮)に巻き付けてみよう。あといい感じに肩から掛けて背負う形にした。
 そしてもう1つ、大事なことに気づいた。
「あ、結局朝ごはん食べてないよ〜」
なるべく人が少ない時間にパン屋にでも行って買いに行こうと(うちの村のパン屋は開店時間が早いのだ)思っていたけれど、

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一章/4話 「行ってきます」と兄の記憶

一章/4話 「行ってきます」と兄の記憶

 てことでラメと一緒に魔王を倒すべく、あと『都市巡り』を完遂するべく(僕としてはこっちが主題)旅に出ることになったわけだけれど、『世界一の刀匠』に会いに行く前に世界一の長老(笑)に会いに行かなけばならない。その長老っていうのはうちの村の長老なんだけれども、何が世界一かっていうと……
「すごくてきとーなんだよね、うちの村の長老」
「ふむふむ、とりあえずそのてきとーなちょーろーさんに『行ってきま〜す』

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一章/幕間1 魔王城にて

一章/幕間1 魔王城にて

 暗い、とっくに昼になっているのに暗い。そんな場所に1人の男がいた。
彼の頭には角。大きいものと小さいもので2本。
 彼は何かを待っていた。黒い岩を削って作られた、不気味な装飾が施されている椅子に座って。

 突然、部屋の真ん中に穴が空いた。文字通り空間に。その穴の中から不気味な仮面を付けた少年が出てくる。
「どうだ?何かあったか」
角の男が言う。
「ええ、勇者が旅に出たとのことで」
仮面の少年が

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一章/5話 悪者退治とその報酬

一章/5話 悪者退治とその報酬

 お腹すいた。結局朝から何も食べないでもう太陽は頭上真上にいらっしゃる。
 今僕達は長老と話してから、村の門を出て街の方への道を歩いている。
「お、サクラ君お腹すいたーって顔してるね〜」
わお、バレてるね。でもしょうがないじゃん朝から何も食べてないんだもん。
「ていうか、ラメはお腹すいてないの?」
「私はさっきの酒場でちょっと食べましたからね〜」
う、確かにさっき酒場では ラメの座ってた席には食べ

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一章/6話 お嬢とお話

一章/6話 お嬢とお話

 僕は今、馬車に乗っている。
僕の他に2人、(あと御者の男の人も含めるともう1人プラス)1人はラメ。もう1人はライネリーの若い女領主……あ、名前聞いてないや。
「そういえば、領主さんの名前まだ聞いてないですね」
ラメも思い出したようだ。
「ああ、そういえば確かに自己紹介がまだでしたね。私はローズ・ミランダ・ライネリーです」
お嬢さん、ローズさんが言う。
「あなた達のお名前は?」
あ、確かに僕らの名

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一章/ 7話 お嬢の過去 お嬢の街

一章/ 7話 お嬢の過去 お嬢の街

 なんやかんやでローズさんと話しながら馬車は進んでいった。
「ローズさんは今いくつですか?」
ラメが聞いた。女性に年齢聞くのは失礼…いや、そういえばラメも女性だった。
「むむむ!サクラくんのほうが失礼じゃん」
うう、たしかに。
「ふふふ、私は19です。今年で20歳になります」
へ~19歳かぁ…え!?若!!
「サクラくん失礼よ…」
「あ、えと、えっと、あの、ごめんなさい…でもそういうことじゃなくて、

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一章/8話 交わる伝承

 …えっと、とりあえず……
「ローズさんの知り合いの方の占い?と、ラメの故郷の伝承がほとんど同じってこと?」
「うん、さっき言った故郷の伝承ね」
「私があの占い師に聞いたものとほとんど同じなのですか?」
ローズさんもびっくりしてる。
「はい。内容が『世界が魔に支配されんとするとき、1人の勇者が現れ、魔を打ち払わん』で、その勇者の見た目が、『身長が低く、桜色の長髪の少年』なんです」
「私のところの占

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一章/9話 商都ライネリー

「ねね、正体って?一体その人は何者なの?ねえねえ、お~い。ねえってば!」
う、うるさい。こうなるなら言わなければ良かったかな…いやべつに言ってもいいんだけどね?ただ説明がめんどいというかなんというか…っていうかそもそも絶対信じてくれないだろうし……
「皆さん、そろそろ街に到着致します」
「わ!ほんとだ!もう見えてきましたね!」
あ、ボルジアさんの発言のおかげで何とかなった。ふう、ありがとう、ボルジ

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一章/10話 宝石の帽子

 店の奥にはカウンターがあり、中年の男がそこにいた。
「すみません、この帽子を買いたいんですけども…いくらですか…?」
「あ?ああ、その帽子な。ちょいと見せてみ」
店主さん?がラメから宝石の入った帽子を受け取り、付いていた値札を確認する。
「ねえ、ラメ。帽子の値段、確認してなかったの?」
「いや~、あまりにもピンときちゃったもんだからつい…えへへ」
「ちなみに、今全部でいくら持ってるの?」
お金が

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