『世界のミイラ』という本を読んでみた
こんばんは。
介護エンジニアを目指すと言っていたけど、そもそもキャリア自体に迷っている Haruka です。
今回は、プログラミングもITも関係なく、趣味で読んでいた『世界のミイラ』という本を紹介したいと思います。
読んだきっかけ
先月、国立科学博物館で開催されていた「ミイラ展」に行ってきました。
(※展覧会自体は先月24日に閉幕してます)
展覧会は、ミイラを見世物にするのではなく、世界中のミイラを紹介したり、作られた背景を考察したりしていて、とても興味深い内容でした。
展示を見終えた後、内容のおさらいのために購入しました。
映画を観て感動した後、パンフレットを買いたくなったり、誰かに感想を語りたくなるのと同じ感覚です。
どんな本?
タイトル通り、世界各地のミイラを網羅的に紹介した本です。
ポケット版ミイラ図鑑、といったところでしょうか。
展覧会で展示されていたミイラも数多く紹介されています。
初版発行が2019年11月15日で、展覧会会期中なので、展覧会に合わせて上梓したのかもしれません。
印象に残った内容3つ
著書の内容で印象に残ったのは以下の3点です。
1. ミイラは世界各地にある
2. ヨーロッパの自然ミイラと「不朽体」の落差
3. 全国に17体ある日本のミイラ「即身仏」
それでは、ひとつずつ詳細を述べていきます。
1. ミイラは世界各地にある
こちらは、展覧会でも触れられていましたが、ミイラは古代エジプト限定の特殊な文化…ではありません!
エジプトはもちろんのこと、ヨーロッパにもあるし、アジアにもあるし、何なら日本にもあります。
しかも、古代エジプトが発祥というわけでもなく、世界各地で個別にミイラ文化が発生したようです(著書や展覧会によると)。
ミイラの種類は、大きく分けて2種類あります。
自然ミイラ(色々な条件が重なり腐敗が進まなかった遺体)と、人口ミイラ(死後に防腐処理を施した遺体)です。
どちらも世界各地にあるのですが、人口ミイラは祖先を祀るのが主な目的で、どの国・地域のミイラもその目的に沿っているのが興味深いですね。
2. ヨーロッパの自然ミイラと「不朽体」の落差
展覧会で見た時も、著書で読んだ時も衝撃的でした。
というのも、ヨーロッパの自然ミイラ(何らかの条件で腐敗が進まなかった遺体)の多くが「処刑されたか、殺されて打ち捨てられた遺体」だからです。
これらは泥炭湿地という、涼しく酸素の少ないので腐敗が進みにくい土地に遺棄されたものなのですが、ほぼそのまま亡くなった時の状態で発掘されます。
前述の通り、処刑されたり殺されたりした遺体なので、首に縄が巻かれたままだったり、喉を切られてたりと、写真や実物を見るとなかなかショッキングです。
ですが「不朽体」と呼ばれる聖人の遺体は、服を着せて教会の納骨堂に安置されているので、落差がすごいよな、というのが個人的な感想です。
他の国や地域でも貴族や聖人は不朽体と同じような扱いですし、虐殺の歴史も当然あるわけですが…
個人的には、ヨーロッパの闇の深さを垣間見たように感じました。
3. 全国に17体ある日本のミイラ「即身仏」
最後は、日本のミイラについて。
「日本にミイラなんているの?」と思った方は、「即身仏」と聞いたらピンとくるかもしれません。
ざっくり言うと、即身仏は「死後に仏になった人」です。
徐々に食べるものを減らし、最終的には断食して餓死します。
その遺体を3年間埋葬し、燻製すると即身仏の完成です。
徳の高い僧侶が人々の幸せを願って、即身仏になるケースが多いようです。
仏像と同じように、崇拝の対象になります。
著書によると、即身仏を崇拝する文化は、10世紀頃から始まったようです。
なぜ即身仏が全国に17体もあるのか、背景が詳しく書かれていないので不明ですが、調べてみたら戦乱の多い時代だったようなので、仏教も盛んだったと思われるので、その影響でしょうね。
まとめ
見た目がショッキングなミイラも結構あるので、見慣れないと怖いでしょうが、背景は興味深いものがあります。
祖先を崇拝する手段として、世界共通で「ミイラ化」という方法を取っているという知見を得られて良かったです。