MBA留学とジェンダーギャップ~留学中に、こどもを産める?
最初に言っておくと、これは私自身がMBA留学をしながら出産・育児した経験談ではありません。
MBA留学中にこどもを産むって、可能なのか?ということについての考察です。
結論から言うと、男性にはできるけど女性にはほぼ無理です。
以前から薄々感じていたことですが、はっきり気づく出来事がありました。
先日、学年全員と家族と教授たちとでクリスマスパーティーがあったんです。
そこで、おめでたいニュースとして、このMBAプログラム中に生まれた赤ちゃんの紹介がありました。
プログラムが始まって半年の間に生まれた赤ちゃんは4人。
おめでとう!!と盛り上がる中、私はモヤっとした気持ちを感じていました。
紹介される生徒(親)、全員男性、、、
そうか。女性がこの立場になるの、無理なんだ。
こんなに忙しい学生生活の中で、妊娠するのも、出産するのも、少なくとも私には無理だ。
自分の体でこどもを産む必要のない男性の特権だなぁ、、、
卒業までの間に妻が出産を予定している男性の生徒は、さらに2人います。
気になったので男性留学生の中での割合を計算しました。
・MBA期間中にこどもが産まれた・産まれる予定
・1人で留学にきて、妻が自国に残り子育てをしている
・こどもが既にいて連れてきていて、妻が面倒を見ている
上記合計で、男子留学生の約40%でした。
一方で、女性のクラスメイトの中で、上記いずれのパターンでもこどもがいる人は1人もいません。0%です。
MBA受験~留学~卒業後の就職まで視野に入れて考えたとき、この期間中に女性が出産するのは至難の業であると思います。
MBA受験の面接で、「今妊娠中で、入学してから産む予定です」ともし言ったら?
男性だったら「おめでたいニュースだね!」となるところ、女性だったら「ちゃんと勉強できるの?」と心配されないか?
社費の場合、これから産休育休に入る女性、又は産休育休から復帰したばかりの女性に、チャンスがあるのか?(育休は男性も取るべきという別の議論もあり)
MBA留学中に妊娠・出産できるか?
いや無理、、、今の忙しすぎる学生生活でつわりがあったら、とてもじゃないけどやってられない。
もし就職中に妊娠していたら、不利に働くことはないだろうか?
卒業後に就職して、すぐ産休育休に入ることができるだろうか?
こう考えると、女性にとっては、MBA受験から卒業後に就職して生活が安定するまで、2年・3年と、こどもを産むのが難しい期間になるかもしれない。
そして、年齢的にこどもを持つのか持たないのか決めないといけないのもこの時期かもしれない。
MBA留学の男女比が(他校の事情が分からないのですが、少なくとも私が通っているプログラムでは)極端に男性に偏っている一因に、このような出産に関連した女性特有の障壁があるのではと考えています。
どうしたら、この壁を取っ払うことができるでしょうか?
社費選考に当たって、企業が男女比半々を目指す努力も当然必要であると思います。
選考基準が男女比平等という表面的なことだけでなく、社費選考に応募してくる将来のリーダーになる層の人材が男女比半々でないと実現しないわけで、企業のDEIのレベルが反映されるものだと思います。
私が特に着目したいのは、学校側にできることは何か?ということです。
日本企業や日本の社会が変わるには残念ながらまだまだ時間がかかるでしょうが、例えば以下のような学校側の施策は、やろうと思えばできるものだと思うからです。
妊娠・出産が理由での入学延期、MBAプログラム中の休学を可能にする
妊娠・出産のタイミングを都合よく完璧に合わせるのはとても難しい
受験してとりあえず席を確保し、1学期遅れてスタートするとか、翌年以降にdeferするとか、プログラム中に1学期休むといったフレキシビリティがあれば、妊娠・出産と学業の両立による身体的負担が軽減できる
女性の私費留学生に対する奨学金
MBAはただでさえお金がかかり、こどもがいる場合の金銭的負担はさらに大きい
社費であれば十分なサポートが得られるが、社費で選ばれる女性は少ない。ということは、学校にできるのは私費の女性を増やすこと
女性が子連れ私費留学できるように学校が奨学金を出せば、妊娠・出産と学業の両立による金銭的負担が軽減できる
何より、パーティーで赤ちゃんの父親たちにおめでとう!と言うとき、まずはそれが男性の特権だということに気づいてほしいです。
今度facultyに話そうと思います。
そして、私は将来、女性留学生のための奨学金を作りたいです。