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ノスタルジア 古いもので人を繋ぐー私がお店を開いたら、並べたいものー
*決意
「古いものを扱うお店をやりたい」
これを強く思ったのは、ここ一年の間である。
*好きなものと将来
唐突だが、自分は今、大学生だ。
大学を卒業したら、どんな仕事をするのか。
それを考えなくてはいけない時期である。
自分はどんな仕事をしたいのだろう?
それを考えた時、頭に浮かんだのは、自分が心を惹かれる「古いものたち」だった。
「古いものたち」
例えば、古本。それが好きなのは、古本の読み込まれた感じが好きだから。
そして、新刊書店では何冊か在庫があるものでも、古本屋だと、一冊しかないことが多い。そういうところに、運命というか、巡り合わせを感じてしまう。
例えば、古着。現在ではあまり見かけないような柄があるから。ここでもやはり、古着屋には、同じものは一つとしてない。そこに運命を感じる。
それから、アンティーク雑貨や古道具。
今では使われないようなものでも、どんな人が、どんな使い方をしていたのだろうと想像する。古びているけれど、それは大切にされてきたからであるとわかる、その感じがとても心惹かれる。
「古いもの」との出会いは、「新しいもの」とはまた別の出会いのような気がする。
「新しいもの」も好きだけれど、「古いもの」には、自分の想像力(どんな人がそれを読んで/着て/使っていたのだろう、という)がより刺激される。
そんな風に、「古いもの」は好きだったけれど、それに関わる仕事がしたい、という思いは今まで明確にはなかった。
しかし、ここ一年で、それを強く思い始めたのには、きっかけがいくつかあった。
*きっかけの出会い
そのうちの一つのきっかけが、古本屋での出会いだった。
ある日、ふらっと入った古本屋で、偶然、昔好きだった本に出合った。アリソン・アトリーの『時の旅人』松野正子訳(岩波少年文庫)というファンタジーである。
古い農場に病気療養のためにやってきた少女が、偶然、16世紀に迷い込んでしまう。時を越えるというキーワードが、この本の雰囲気が、心に残っていたのだった。
図書館で読んだので、自分の本棚にはなかった。けれど、いつか蔵書に加えたいなとは思っていた。これは、おそらく、新刊の書店でも、今でも売られている本だろう。だから、買おうと思えばいつでも買えた。そうしていなかったのは、なんとなく、機会がなかったからだ。
けれど、古本屋でこの本を見つけた瞬間、当時夢中でこの本を読んだ気持ちが、改めて強く思い出された。
古本屋で見つけたということは、誰かがこの本を読んでいたということ。手放したのは、もう大人になったからかもしれないし、置き場所がなかったからかもしれないし、はたまた、昔の私とは異なり「面白くない」と思ったからかもしれない。
でも、自分にとっては、「面白い」「いつか蔵書に加えたい」本だった。誰かがこの本を手放し、それを自分が偶然見つけ、改めて「欲しい」と思った。そこには、なんだか運命を感じた。
それで運命を感じるのは、ちょっと単純すぎるかもしれない。新刊書店に行けばいつでも買えるのだから。
けれど、 誰かにとっては要らないものでも、他の誰かにとっては、手にしたいものだったりする。
それを繋ぐ縁は素敵だと思った。
捨てられるかもしれなかったものが、新しい所有者のものになる。
それは、その「もの」にとっても、幸せなことだろう。手放す人にも、手に入れた人にも、幸せをもたらすことだろう。
そして、自分もそのような縁を繋ぐお手伝いをしたいと強く思った。
これは、古本だけでなく、古着やそのほかにも当てはまる。
今までは、自分が縁を繋いでもらう側だったけれど、自分がその縁を繋ぐ側になれないか。
そんな仕事、活動をして生きていきたい。
大学を卒業してすぐ、そんな活動ができるのかは分からない。けれど、いつか、絶対に、やりたい。
そう思った。
*テーマ…「こども心」「ノスタルジー」
そして、もし、自分がやるのだったら、「こども心」「ノスタルジー」といったものをテーマにしたいとも思う。
なぜなら、自分が児童書や絵本が今でも好きだからであり、古着に関しては、一昔前の少女たちが着ていたような洋服が好きだからだ(いつまでそのような服が着られるかは置いておいて)。
そして、そういったこどもの心を忘れないことは、生きていくうえで大切だと自分は考えている。大人になっても、人と(特にこどもと)接する上でも。
それから、ある程度昔のものには、ノスタルジーを感じる(たとえ、自分がその時代を実際に経験していなくても)と思う。自分はそれに胸のときめきを感じる。そして、せわしない日常から少し離れた非日常を感じる。非日常を感じることは、生きていくうえでやはり大切なことだと思う。
大人の日常から外れた、ちょっと昔を思い出せるような、誰かに大切にされてきた雑多なものたちを扱いたい。古本、古着、アンティーク雑貨/古道具を中心として。
この思いを夢だけで終わらせないために、今回、noteにこの記事を執筆した。自分の決意として。それを誰かに聞いてもらうために。
そして、その決意を持続させるために、時々、noteに、自分が今まで集めてきた「古いもの」について、書いていこうと思う。