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【桜の名所】新庄村のがいせん桜

気づくとGWも残り1日。つい先日までまだ寒い日もあったけど、東京はすっかり初夏の陽気。春を忘れないうちに、4月に訪ねた桜のことを書き留めたいと思います。


遅めのお花見スポットへ

倉敷から新庄村まで

4月は3週目を岡山で過ごしました。東京も今年は桜が遅かったけど、岡山もそんな感じだったみたい。この時期、倉敷もソメイヨシノは終わっていたのですが、まだ岡山県北ではお花見ができそう!ということで、新庄村の"がいせん桜"を見に行きました🌸

新庄村に行くのは初めて。テレビや新聞で桜の名所とは知っていたけど、倉敷からはなかなかの距離です。公共交通機関の場合は、電車とバスを乗り継いで4時間。車なら2時間弱とのことで、お昼頃の到着を目指して午前中に出発しました。

倉敷から高速で北房ICまで行き、その後いくつかのヘアピンカーブを通過しつつ、長閑な山間の景色を楽めるドライブルートでした。岡山県を南北に移動すると、いつの間にか森が針葉樹に変わり、普段見慣れない景色になるのが楽しいのです。

ヒノキの名産地、岡山

実は、岡山県はヒノキやスギの名産地ってご存知ですか?
特に、「ヒノキ」の生産量は最新データで全国2位(令和4年)、その前年は全国1位でした。

・ヒノキ素材生産は西日本で多く、岡山県は平成24年から平成28年(5年連続)、平成30年及び令和3年で全国1位
・スギの素材生産は全国的に行われ、岡山県は令和4年で全国24位
・岡山県の素材生産量は全国生産量の約1.8%であり、令和4年で全国16位

岡山県林政課webサイトより

ということで、林業の盛んな真庭市を通って向かう道中は、針葉樹の森だらけ。その中に1本だけ山桜が混ざっていたりして、それがとても素敵なのです。車道の脇の田んぼには菜の花や野花が群生していて、山のグリーンとイエローやピンクの花々、まだ田植え前の土色との組み合わさった情景に春を迎えた喜びを感じながら、心ウキウキと山間のドライブを楽しみました。つい最近まで雪が残ってたんだろうなという名残も感じつつ。

明治から合併のない県内最小自治体

岡山在住の人でもよく分かっていない人が多そうなので、新庄村(しんじょうそん)について、今回きちんと調べてみました。

岡山県の西北端、鳥取県に隣接する村で、人口約1000人、380世帯の県内では最小の自治体。明治5年の村政施行以来一度の合併もなく、大字のないのが特徴とのこと。そんな村、とても珍しいのではないでしょうか。

新庄村の魅力
古くは出雲街道の宿場街「新庄宿」として栄え、旧出雲街道は今も当時の面影を残す風情ある通りとなっています。また、毛無山を主峰とする1000m級の美しい連山に囲まれ、岡山県三大河川のひとつ旭川の源流域にもあたります。毛無山にあるブナの原生林を中心とした混生樹林が多く植物、野鳥の宝庫となっており、希少な動植物も数多く生息しています。

新庄村webサイトより

岡山県では唯一「日本で最も美しい村」連合に加盟しています。

NPO法人「日本で最も美しい村」連合
2005年に7つの町村からスタートしました。 当時は、いわゆる平成の大合併の時期で市町村合併が促進され、小さくても素晴らしい地域資源や美しい景観を持つ村の存続が難しくなってきた時期でした。私たちは、フランスの素朴な美しい村を厳選し紹介する「フランスの最も美しい村」運動に範をとり、失ったら二度と取り戻せない日本の農山漁村の景観・文化を守りつつ、最も美しい村としての自立を目指す運動をはじめました。

日本で最も美しい村HPより

真庭郡には新庄村しかなく、隣の真庭市には所属していないですね。真庭市の一部と思い込んでいたので、びっくりしました。

旭川の源流域とのことで、この村の水はとても清らかで美味しいそう。この水を求めて津山市から移住したその名も「水路珈琲」というコーヒー屋さんもいます。👇

県下最後の桜まつり

話を戻します。新庄村の春の風物詩といえば「がいせん桜」。「がいせん桜通り」と呼ばれる旧出雲街道の街並みに、樹齢100年を超える古木を含む133本の桜のアーケード(約400m)が続きます。この通りには古い建物が残っていて、まるでタイムスリップしたような感覚になります。

「がいせん桜まつり」は県内外からも多くの見物客が訪れる人気のお花見イベント。県南より時期が遅く、県下最後の桜まつりを楽しめます。地元住民によるグルメなどの出店や夜桜ライトアップもあり、今年は、3月30日(土)~4月14日(日)に開催されたようです。

なぜ「がいせん桜」というかというと、明治39年、日露戦争での戦勝を記念して137本の桜が植えられたから。だから古いものは樹齢100年を超えるのですね。

私が訪ねた時にはお祭りは終わっていましたが、葉桜になる少し前の桜を十分に楽しむことができました。むしろ見物客が少なく、ゆっくりと歩けたのでラッキーだったかも。

通りの両側にさらさらと流れる水路があり、その音にも癒されました。また、近くの小川に沿いには枝垂れ桜が並んでいて、ソメイヨシノとはまた違った趣を感じられて素敵でした。

道の駅「がいせんざくら新庄宿」

小さな村なので、平日にお昼を食べられる飲食店は少ないようですが、がいせん桜通りと川を挟んだ幹線道路沿いに道の駅があるから安心です。

道の駅「がいせんざくら新庄宿」は、新庄村の魅力を発信する場として2018年4月にオープンしたそう。地元食材を使った食堂、村のマーケット、休憩室などがあり、トイレも大きくきれいでした。

観光客だけでなく、仕事で来た人や村人たちの利用も多く、村の憩いの場として活用されているような印象を受けました。新庄村は、餅米の最高品種「ヒメノモチ」が名産で、そのお餅や麺などの加工品を作る工場も併設されていました。私ももちろん、ひめのもちを購入しました!

今回ランチにいただいたのは「新庄ししメン」。ヒメノモチの米粉を使った麺と猪チャーシューのラーメンです。もちもちした食感の麺が美味しかったです^^

新庄ししメン

イチバンの名物メニューは、牛丼のご飯の代わりに新庄村特産の「ひめのもち」が入った「牛餅丼」とのこと。次回はそちらを食べてみたいです。

https://www.meruhen-plaza.jp/

美甘宿場桜に寄り道

新庄村を堪能した後、倉敷へ戻る高速へ乗る前に、真庭市に入ってすぐの道中にある「美甘宿場桜」にも立ち寄りました。(美甘はみかもと読みます)

こちらも旧出雲街道ゆかりの桜。美甘宿の町裏、新庄川の堤防沿いに50本の桜が植えられた河川敷の桜が堪能できます。かなりひっそりとした雰囲気なので、桜との親密度をより感じる場所でした。

近くの高台に昇って川沿いを見下ろしてみました

見頃は新庄村と同じ時期だと思われますので、合わせて訪ねることをおすすめします。


映画コラム

濱口竜介監督 『悪は存在しない』

余談ですが、私はミニシアター好き(というより好みの映画がミニシアターでしかかからない💦)。濱口竜介監督のファンなので、最新作の『悪は存在しない』が公開されるや否やすぐに観てきました!

ストーリーは、自然豊かで水のきれいな町を舞台に、政府の補助金を得てグランピング施設を計画する都会の企業がやってきて、環境や水源を守りたい住民との間にさて何が起こるか…といったお話です。

観ながら思い出していたのが、この新庄村の景色。これまで合併しないで小さな村で努力し続けたからこそ、あの里山の美しい情景が現代にも残っているんだろうなと。

「上から下に流れる」
「上のものには責任がある」
「都会の人は田舎にストレスを投げ捨てにくる」

都会と田舎を行き来している身としては、身につまされる言葉がたくさんありました。多くの人と語りたくなる映画です。さすが、世界の濱口ですね。


最後までお付き合いありがとうございました!
次回は、なぜ岡山との2拠点を始めたかといったお話などできればと思います。









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