小説 これは私の夢のはなし
🐑#007 ペンダント
「これをあなたにあげるわ。」
わたしは手のひらに何かを渡された。
わたしはまた夢の中にいる。
「あなたはあの*桜の人*の?」
わたしの問いに、うん。とだけ彼女は頷く。
肩まである切り揃えらた髪を右耳だけにかけると彼女は言った。
「あなたの御守りにしてほしいの。」
わたしは自分の手のひらを開いて見た。
可愛いペンダントだった。
綺麗な女性の顔が彫られてある白いペンダント。
しかもかなりの年代物だ。
「だけど、これってあの桜の人からもらった物なんでしょう?」
わたしは彼女に言うと彼女は首を横に振って言った。
「これね。父からの贈り物なの。
私が家を出るときに御守りだってくれたの。」
「でもそんな大切な物なら何故わたしに。」
わたしは少し*訝しげ*そうに言った。
その様子に彼女はふふふと笑った。
そしてこう言った。
「私はあなたであなたは私だからあげるの。」
わたしは意味がわからずに、「、、、。」
答える事ができなかった。
「幸せになってね。私の分まで。」
そう言うと彼女はわたしをそっと抱きしめた。
そして、彼女はスッといなくなった。
「あなたは幸せじゃないの?」
わたしは独り言を呟いた。
目が覚めた。
彼女のつけていた香水がふわりと香った気がした。
「幸せになってね。私の分まで。」
まだ彼女の言葉が悲しく響く。
わたしは自分の手を見た。
そこにはペンダントは無かった。
彼女の物語がきっとある。
彼女も幸せだったはずだ。
わたしは彼女を思った。
彼女のはなしはまた違う夢のはなし。
🎀これはわたしの夢のはなし🎀
*桜の人*#003 桜の下で彼女を待つ男の人
よろしければそちらもご覧ください。
*訝しげ*《いぶかしげ》不審がる様子
お読みいただきありがとうございます。
どなたかの目にとまれば嬉しく思います😃
また夢のはなしでお会いできれば幸いでございます。