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「社会正義のキャリア支援」と「労働の人間化」

こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

「キャリアコンサルタント」が国家資格となって7年目。現在、資格保有者が約7万人と言われています。

3年前に発刊した拙著「キャリアコンサルタント」で自立する方法でも述べましたが、厚生労働省は、2024年までにキャリアコンサルタント登録者(技能士含む)数10万人目標計画を掲げています。
10万人の目標数値は既に、累積数で達成されているそうですが、更新者数の兼ね合いから現在、登録者数は約7万人だそうです。


それはさておき、「キャリアコンサルタント」の認知度は、私がまだ民間資格時代に取得した約13年前とは、比べることができないほど、高まっています。

しかし、現在でも、企業を回っていても知らない人は知らないですし、関心のない人たちには、キャリアコンサルタントが何をしてくれるのか?企業に必要なのか?そこから説明しなければならないのが現実です。

「日本のキャリアコンサルタントの父」といわれる故木村周氏は、著書であるキャリアコンサルタントのバイブル「キャリアコンサルティングの理論と実際」の中で、「キャリアコンサルタントは、雇用、教育、企業の現場で直接『働くことを通して、人生をいかに生きるか』を支援する専門家」と述べています。


そして、「支援者として官民を超えた『公』の視点を自覚し、『労働の人間化』と『快適な職場づくりに貢献すること』が必要であり、キャリアコンサルタントが個人と組織の真ん中に立って支援していくこと」を唱えています。

『労働の人間化』とは、要約すると以下の6つの要素です。
①「変化」
労働の内容に手応えがあること。単に忍耐を要するというだけでなく、適当な変化が求められること。

②「学習」
仕事から学びがあること。継続可能でかつ妥当な学習があること。

③「自立性」
自分で判断する余地があること。自分の責任で考え、決められること。

④「他人との協力関係」
人間的つながりがあること。同じ職場の人たちが互いに他人を認め合う関係にあること。

⑤「社会的意義」
仕事に社会的意義があること。自分の労働と社会をつなげて考えることができること

⑥「成長」
将来にプラスになること。何らかの意味で良き将来につながること。

つまり「労働の人間化」とは、一言でいうと、いかに労働を人間的なものにするかを説いています。
私は、この「労働の人間化」をキャリアコンサルティングを実施するうえでの、思考の原点にしています。

この「労働の人間化」を更に進化させたのが、現在、世界のキャリアコンサルティングの潮流である「社会正義のキャリア支援」です。

この「社会正義のキャリア支援」は、故木村周氏の愛弟子である下村英雄氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構【JILPT】副統括研究員)が15年以上研究し論文発表などをして、徐々にですが、世の中に認知しつつあります。

周辺層の支援なので、主流派、多数派な支援にはならないでしょう。
しかし、キャリアコンサルタントとして認識しておくべき支援だと思います。


前述の「キャリアコンサルティングの理論と実際」6訂版では、木村・下村氏共同執筆で、この「社会正義のキャリア支援」についても述べられています。
また、キャリアコンサルティング1級技能士試験にも出題されています。

「社会正義のキャリア支援」と言うと、とても崇高であるけれど、なんだか正義感ぶっていて、近寄りがたいというイメージがあるかもしれません。
英語で「ソーシャルジャスティス」と表現すると受け入れやすいかもしれませんね。

「社会正義のキャリア支援」って具体的に何をするのでしょうか?

下村氏は著書「社会正義のキャリア支援」の中で、「社会正義論は理論的アプローチという面が強く、社会全体におけるキャリア支援のあり方、さらには、それにたずさわる支援者の価値観、哲学、態度を問題にする領域」

つまりは、キャリア支援者の「スタンス」を問題にする領域だと述べています。

支援者が具体的に何をやるかという以前に、そういう実践をするべき人はどうあるべきかが大事だそうです。

キャリアコンサルタントが実践できることとは、個人と組織の間に立って、人間的な職場環境づくりの実現でしょう。

その実現にための行動として、相談者に働く意味の気づきを与えたり、企業、学校、行政等の組織にアドボカシー(具申)していくことがあると思います。

ダイバーシティ、SDGs、LGBTQなど社会、職場での価値観の多様化が進む現代、お互いを尊重する価値観の多様化社会の実現には、「労働の人間化」「社会正義のキャリア支援」の捉え方が、重要だと考えます。

最後に、「社会正義のキャリア支援」をもっと学んで、キャリアコンサルティング、仕事に活かしたい方々に、ご連絡があります。

昨年、前述の下村英雄氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構【JILPT】副統括研究員が指導していただける勉強会、「社会正義のキャリア支援研究会」が発足しました。

第2回会合を2024年3月23日(土)10時~12時にオンラインで行います。(参加費用:1,000円)
ご興味のある方は、お気軽にご参加してください。

【お申し込みはコチラから☟】

お会いできるのを楽しみにしております。
よろしくお願いいたします。


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