訪問自粛とぼくの関わり方。
1月19日、訪問活動の自粛が始まった。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ぼくの所属先・地域包括支援センター業務の要とも言える訪問活動が自粛になりました。
昨年の春先から梅雨にかけても、同様の措置が講じられましたが、この訪問自粛がぼくに与える影響はかなり大きいものです。
外出できないことへのストレスや業務量の軽減による憂鬱感が増し、日頃のお役所業務に対するモチベーションが低下するのです。
そこで、今回は、ぼく自身が訪問自粛によるモチベーション低下を防ぐべく、頭の整理にここで綴りたいと思います。
***
訪問活動がぼくに与える影響。
訪問活動は、福祉職にとっての主な業務内容だ。
ぼく(地域包括支援センター・社会福祉士)の場合は、介護サービスを利用している高齢者住民への訪問や医療機関をはじめとした他機関からの相談によるアウトリーチが当てはまる。
訪問活動を通じて、住民の生活状況や健康状態を把握し、適切なサービス利用等の支援につなげることが、ぼくの主な業務内容だ。
しかし、訪問活動が無くなることで、上記のような住民との関わりが難しくなる。
もちろん、虐待や生活困窮といった緊急案件は例外として動くが、住民の生活や地域の実情で見えづらい部分が出てくるのだ。
見えづらさが、ぼくに怖さとつまらなさを生み出している。
「あの人、この先どうなっていくんだろうか。」
「事務所にいても、なんか気が滅入るなあ。」
そう思う、訪問自粛の期間。
後ほど語るが、ぼくのモチベーションとやる気の源は目の前の人の笑顔とひたすらに生きる姿なのだ。
それに、アウトリーチを重視しているぼくにとって、訪問ができないことは辛いことだ。
何らかの支援が必要な状況にもかかわらず声を出せない人は多く存在していて、アウトリーチの必要性は年々増している。
家の外に、地域に出られない人は、本当に出られないし、むしろコロナ禍でさらに心も身体も引きこんでしまう。
閉じ込められてしまうのは、誰もが辛いことなのかもしれない。
アウトリーチするぼくにも、生活課題を抱えているけど声に出せない人たちにも、訪問活動の自粛が与える影響は大きいのだ。
訪問自粛で業務量が激減!?
訪問活動が無くなるということは、訪問に当ててきた時間が空欄になるということ。
電話での状態把握には努めるが、明らかに業務時間が短縮され、それに伴い業務量も激減する。
そうなると、事務所に、相談機関の立場でいう窓口に、身を置きつづけるしかない。コーヒーを飲むのが唯一の楽しみになってしまう。笑
「今日は、何をしようかな。」
ふと、机に向き合いながら、そう思う。
一方、新型コロナウイルスにかかる補助金を担当する部署は、毎日夜遅くまで残業している日々だ。
「自分、何やっているんだろう・・・。」
「でも、こんな状況だからこそできることがあるんだ!」と自分に言い聞かせながら、今を乗り越えようとしている地方公務員&行政ソーシャルワーカーの姿である。
自粛期間中にできること。
通常の体制では、訪問活動が主な業務になっている。総合相談や緊急案件で自宅や病院への訪問が必要になれば、外に出ていく役割がある。
普段は1日中外に出っぱなしの日もあるくらい、日々の業務に追われる毎日を過ごす。
そうなってくると、自然とこなすだけの業務になってしまう。
業務中に、いつもこなしてばっかりの業務に対する疑問点や改善点を考える暇がない。これこそ、地方自治体に所属する職員の悩みのタネになっている。
今やっている業務を見直すこと。
感染予防における訪問自粛だからこそ、時間を割いてできる業務の見直し。
この見直しでは、書類を整理したり、現に関わっている1人1人の生活状況やストレングス(強み)を深掘りしてみたり、できることは色々ありそうだ。
普段できない業務をこなすこと。
普段できない業務。業務の見直しにも直結するが、マニュアルの作成・見直し等の枠組みづくり、制度や対人援助に対する新たな仕掛けの考案ができると考えている。
ぼくの場合は、社会福祉士としての業務があって、高齢者虐待の対応や成年後見制度の市町村長申立てにかかるものだ。
日頃から目の前の人の生きる権利を守る立場にあるが、そのような緊急事態に備えるための訪問自粛になるのかなと思う。
必要だと思う業務に、自らアクションすること。
ここでは、上記の業務の見直しや日頃できない業務に対して、自らアクションすることが大事になる。
日頃は上司の指示の下、業務に携わることが多いけれど、こういう時こそ上司に提案したり、自ら新たな動き方を実践することが大きな意味があると思う。
多様な働き方の選択肢。
そんな新たな動きをする中で、いつもとは異なる形で働く選択肢が出てくる。
選択肢がいくつかあるとすれば、以下のようなことが想定される。
1.時差出勤を踏まえた通常勤務
2.リモートワーク(自宅勤務)
3.人事異動に伴う、人員の集約化
1.に関しては、主に人口密度の高い都市部が想定されるが、実際に離島でも時差出勤を導入している自治体があるそうだ。
沖縄県では、平成28年5月より時差出勤制度を導入し、コロナ禍においても同様に推進している。
さらに、沖縄県が行った職員へのアンケート調査では、時差出勤の成果として「通勤時(公共交通機関の混雑・道路の渋滞による)のストレスが軽減された」「家庭生活と仕事の両立の測りやすくなった」ことが明らかになっている。
一方で、時差出勤の満足度は高いが、「特に利用したい理由がない。」という調査結果があり、離島でも時差出勤に対する意識の差はあるようだ。
2.に関しては、全国各自治体でリモートワークの導入には苦慮している。
リモートワークが進まない要因としては、業務上欠かせない個人情報を庁舎外に持ち出せないことや業務用PCから庁内ネットワークにアクセスできない環境下にあることがあげられる。
そんな中、地方自治体のテレワーク導入に向けて総務省関連団体が開発したシステムが完成し、455自治体に計約3万4千個のIDが配布された。
各自治体が実証実験を行い、結果次第で導入を決める方針で、地方自治体のテレワークの推進が期待されている。
3.に関しては、以前の10万円給付や今後想定されるワクチン接種等の新型コロナウイルスに関する業務量増大にかかる人事異動や人員増についてだ。
例えば、明石市では新型コロナウイルス対応が増大したため、1週間ごとに人事異動を行い、必要な業務に人員を割くという思い切ったことをした。
もちろん、自治体内全体の理解が不可欠な動き方だが、職員自身の働き方が多様になる第一歩ともいえる取り組みだろう。
それに、このような集約化を図ることで、日頃の業務の効率化にもつながっていくと期待できるのではないかと思う。
つまり、コロナ禍で働き方改革を進めざるをえない状況にあり、それは地方自治体としても、1個人の公務員としても目を離せない事態なのだ。
これら3つの選択肢も現実的にありえる働き方なのだ。
面白がりたい、コロナ禍の働き方。
冒頭にも記したが、訪問活動の自粛に伴うストレスや憂鬱感の増大はぼくを狂わす。
人たらしがゆえに、外出や訪問活動を好むのだと思う。
それに、目の前の人が見せてくれる、笑顔とひたすらに生きる姿が何よりもぼくに勇気をくれるのだ。
そして、目の前の市民と一番向き合える仕事ができるのが、公務員として働く魅力でもあるのだ。
結果的には、それらがストレスや憂鬱感の軽減につながっていて、ぼくにモチベーションとやる気をもたらしている。
だからこそ、思うことがある。
それなら、もっと面白がれる働き方ができるんじゃないか。
コロナ禍になったからこそ、今の働き方を変えていけたら、地方自治体としても、市民としても、ぼくとしても、もっと豊かになるんじゃないかな。
随分前になるが、昨年4月末に長崎県内の公務員有志が集う機会で、こんなことを言い放ったのを今でも忘れていない。
「うち(対馬市)ですか、、、テレワークも時差出勤も夢のまた夢です。」
当時は「離島だから関係ない。」みたいな風潮が漂っているのを言葉にしたが、それは今でも感じつづけている。
でも、これからも、対馬でもできることを公務員として一般市民としてやっていこうと勇気づけられる会だった。
うん、今はぼく自身できることをやっていくしかないのかな。
それに加えて、働き方改革を組織に委ねるのではなく、はりや自身が1人の公務員として具体的に実証実験するしかない。
ぼく自身が面白がれる働き方を見つけるには、しばらく時間がかかりそうだ。
***
長文になりましたが、少しは頭の整理になったのかなと思います。
コロナ禍の働き方は、ぼく自身を変えていく部分があり、適応するというか自ら変革していくしかないですよね。
だから、明日からも、今のぼくにできることを探す旅を職場の机上で繰り広げていきます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?