
商いの本当の目的とは? <朝日新聞連載 第19回>
こんにちは。株式会社はりまぜデザインの角田です。
朝日新聞さんで2023年より連載をさせていただいております
【農業をデザインする思考】がなんと朝日新聞さんのご厚意でnoteでも読めるようになりました!!朝日新聞和歌山欄で発表した後、こちらnoteへも記事を掲載してまいります。ただ、朝日新聞さんのご依頼で執筆しておりますのでまずは朝日新聞さんで公開します。そのあと、少し時間を置いてから加筆修正しnoteへ掲載、という流れになります。もし早く読みたい!!という方はぜひ和歌山県のあなたは朝日新聞の購読を、他府県にお住まいのあなたはweb版の購読をお願いいたします!では、記事をどうぞ!
商いの本当の目的とは何ですか?
先日うちの娘に「これ◯◯さんのトマト🍅?」
と、食べる前に確認されました。「ごめん、、、これは違うねん、〇〇で買った普通のトマト🍅」と伝えると「そうかあ」と残念そうでした。
今回は少し視点を変え、「ああ、子どもは正直だな」と感じたお話を
してみます!
農業デザインを行うようになって一番の幸せが「【本当に】おいしい野菜や果物」に出会えたことです。弊社のお客様が作る野菜や果物は本当においしいのです!だからといって誤解をしないでください!決してスーパー・マーケット(SM)やドラッグ・ストア(DgS)などの野菜や果物が「おいしくない」と言っているのではありません。普通に美味しいです!
この【普通】。これはとても有り難いことです!(「有り難い」とは「ありえない」「あるのが難しい」といった意味です)売り場に365日《変わらないクオリティーの【普通】》を並べ続けるには相当の企業努力や市場システムが必要です。たくさんの人々の努力の結晶が、僕たちの豊かな食卓を彩ってくださっている。そのことへの感謝は忘れたことはありません。
しかし一方で、産直市場は連日大にぎわいです。なぜ近くにSMやDgSがあるのにわざわざ車を飛ばし、渋滞覚悟で産直市場へ来るのでしょうか?歯磨き粉やスポンジなど日用品や家庭用品は売っていませんので結局SMやDgSへハシゴもするでしょう。そんな手間と時間をかけてまで野菜や果物を買いに行くのです。何故でしょうか?それはシンプルに産直市場で売られている野菜や果物が【おいしい】からだと思います。
ではSMやDgSは【普通】を保ちながら【おいしい】を実現することはできないのでしょうか?
セブン-イレブンの生みの親である鈴木敏文氏が「絶対にお客様の目を失わないこと。『そんなことをいっても仕方がない』『そんなことをいっても無理だ』という売り手側の論理を振りかざすのではなく、売り手側の論理を克服することを使命だと自覚してほしい」と話されています。
また和歌山県紀美野町にある農家のジェラテリア キミノーカの宇城哲志氏はある打ち合わせのときに「『やれない』ではなくお客様が求めるなら『やるしかない』。やれる方法を考えるだけ」と笑顔でおっしゃっていました。
商売は続けていくことが重要です。そのためには作り手側、売り手側の論理や仕組みは大切です。しかし、続けていくことが目的になってしまうとお客様を忘れてしまいます。お客様を忘れてしまった結果、うちの娘のように「◯◯スーパーのトマト🍅は食べたくない。。。」とあなたの商品やあなたのお店から離れていってしまうのです。
繰り返しですがSMやDgSを否定しているのではありません。僕が定期購読しているDIAMOND Chain Storeという業界紙には日々皆様の試行錯誤が掲載され、拝見しているだけで頭が下がります。ですのでいずれ「◯◯スーパーのトマト🍅じゃなきゃ食べない!」というワクワクする時代が来るかと思います。
ではそういった時代へ行くためには何が必要か?どんなマインドが必要か?それは
【あなたの商いにおいて、本当の目的】
をしっかりと心に刻むことだと思います。
弊社のお客様の農家の皆様は必ず
「喜んでもらえることがうれしい!」
と、とても幸せそうにおっしゃいます。そして必ず
「うちで作ったものは野菜嫌いな子どもも大人も喜んで食べる」
と胸を張ります。そうなのです、全ては「美味しい!」と言って食べてもらうためなのです。そして「喜んでもらうため」に作っているのです!
ですので弊社のお客様が作った野菜や果物を一度食べるとうちの娘のように「これ、◯◯さんのトマト🍅?」とワクワクで期待し、「そうやで!」と答えると「やったーーー!!」と大喜びするのです。
子どもは決して野菜嫌いじゃないのです。美味しい野菜を知らないだけなのです。これは野菜嫌いの大人も同じです(僕もそれで30歳まで野菜が大嫌いでした)。
普通という状態を作り続けることも大切ですが、時代は変わり始めています。誰も求めていない普通を作り続けることよりも 【お客様に喜んでもらうこと】を作り続けることが大切ではないでしょうか。つまり
どんな職業においても同じです。
本当の目的は
【お客様に喜んでもらうこと】
だと思います。これは僕自身も自分に、毎日毎日言い聞かせています。

正直な子どもたちに「おいしい!」と喜んでもらえる、そんな仕事をしていきたいですね。
少ない字数では真意が伝わりにくいですが、娘からの一言で、ふと、そう思った次第でした。
ちなみに弊社のお客様が作ったものはトマト🍅だけではなくアスパラ、ニンジン🥕、タマネギ🧅、大根、ネギ、キャベツ🥬、ブロッコリー🥦、ミカン🍊、ブドウ🍇、リンゴ🍎、柿、桃🍑、いちじく、ハーブ、山椒、などなど、あれもこれも本当においしいのです!