川の流れのように②
おいでませ。玻璃です。
昭和の子、昭子の物語。
ヒロシとの別れの後、昭子は子供たちを預け、萩の街から離れた徳山市で働いた。
何をして働いていたのか、今となってはわからないし、なぜ子供たちを置いて行ったのかもわからない。
もしかすると、離婚を決めたことで母トメとの折り合いが悪くなったのかもしれない。だが、徳山には長くはいなかった。萩に帰り家業を手伝いながら日々を暮らしていた。
独身になった昭子。
これまた・・・モテた。
3人の子持ちの昭子だが、交際を申し込んでくる男性はたくさんいたようだ。
付き合った人もいたのかもしれないが、基本は冷たく断っていたらしい。
ある夜、正面からだと断られると思った男性が、窓から花束を持ってやってきた。
「あきちゃん、頼むから花だけでも受け取ってぇや。」
「そんなのいらんから、帰って!」
昭子は怒った調子で冷たくあしらう。
そのあまりに冷たい態度を見て、娘のさゆりは
「お母さん、おじちゃんがかわいそうやから、受け取ってあげて。」
と、半泣きで頼んだという。
この時昭子は30歳過ぎ。
長女のため20歳でお見合い結婚をさせられた昭子は、離婚後独身になってから仕事に子育てに遊びに第二の青春を謳歌していたのだろう。
その第二の青春の頃、週末には友達とダンスホールに通った。
家には両親も、お手伝いさんもいるため子供たちは心配なく預けられた。
キラキラしたミラーボール。
大音量の愉快な音楽。
ジルバにマンボにチャチャチャ。
リズムに合わせて身体を動かしていると、これまでの結婚生活の苦しさが汗と一緒に吹き飛ぶようだった。
元夫との口論。殴られたこともしばしば。
全部を忘れ去るように、大声で笑い踊った。
そしてここで、私の運命を決定づける出会いが待っていた。
次回は父のダンスホールまでの道のりを。
ではまたお会いしましょう。