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ベートーヴェンを毎日聴く326(2020年11月21日)

『ベートーヴェン/歌劇「レオノーレ」Hess.109』を聴いた。

ベートーヴェン唯一の歌劇「フィデリオ」は様々な改定を経た後、今に残っているが、一番最初は「レオノーレ」というタイトルで上演されたのである。

「レオノーレ」の初演は1805年に行われたが失敗してしまった。この年はちょうどナポレオン軍がウィーンへ迫っていた頃。当初10月15日に「レオノーレ」は初演される予定であったが迫るフランス軍のために延期。しかし、11月15日にとうとうウィーンが占拠されてしまう。

こんな状況下、「レオノーレ」の上演を11月20日に決行する。しかし、ウィーンの音楽愛好家である貴族階級の人間はウィーンを離れてしまっていた。劇場へ来た観客はウィーンを占拠したフランス軍の兵士たち。意味不明なドイツ語の歌唱のオペラなどは理解できるはずがないのである。

これが「レオノーレ」の初演失敗の大きな理由と言われているが、その後大きな改訂をしたということは、やはり作品自体がイマイチの出来であったということも大きい理由であっただろう。

私は「フィデリオ」初稿版(「レオノーレ」のこと)を生で聴くという貴重な機会を体験できたのだが(2020年2月、ウィーン国立歌劇場)、やはり締まりが悪いと思うような部分もあちこちあったと思う。

当時、作曲家は歌劇も作曲出来てようやく作曲家として一人前、という時代であった。ベートーヴェンのその記念すべき第一歩は残念な結果ではあったが、いずれにせよベートーヴェンのオペラは作られたのである。

多く上演される「フィデリオ」だけでなく、今では研究も進み「レオノーレ」も聴くことができることはありがたいことだ。


「レオノーレ」 序曲 第2番(初演で演奏された序曲は「第2番」である)


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