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ベートーヴェンを毎日聴く153(2020年6月1日)
『ベートーヴェン/カカドゥ変奏曲 op.121a』を聴いた。
ベートーヴェンを毎日聴く153
— Harayan (Herbert von) (@HarayanV) June 1, 2020
op.121a カカドゥ変奏曲。1803年?
当時人気のオペラを元にした変奏曲。重苦しい雰囲気がいつまで続くのか?という長い序奏を経て、各楽器の個性が活きる快活さもある変奏に。演奏者の若々しい雰囲気もうまく合う。
演奏:バレンボイム&デュ・プレ&ズッカーマン。1970年 pic.twitter.com/4H6xL9Ul2Q
ピアノ三重奏による作品だが、第●番という番号は付けられていない。たまに第11番と呼ばれることもある。出版は1824年であるが、このころはもうピアノ三重奏作品は作っていない。出版よりかなり前、1803年頃に作曲されたという説が有力だが、そのころは第4番と第5番の中間点。その2作品は5年ほどブランクがあるので、久しぶりにピアノ三重奏作品を作ろうと思ったのであろうか。
「カカドゥ」とは、ウィーンで人気となり、130回ほど上演されたという歌劇「プラハの姉妹」(作曲:ヴェンツェル・ミュラー)の中のアリア「私は仕立屋カカドゥです」からとったもの。きっとベートーヴェンも見たのだろう、その中で印象に残ったアリアを主題とした作品を仕上げた。このように、人気を博していた作品からアイデアを得て作った作品は、他にもいくつか存在する。
なぜ、長い間出版されなかったのかは不明だが、それだけ後に出版しても充分な内容で創られたと判断したのであろう。また、大きな作品に取り掛かっている時期で、また体調もすぐれないこともあり多産できないので、過去の作品を出版してお金にしていたとも考えられるだろう。ベートーヴェンと言えども、お金にはとても困っていた。以前のお抱え作曲家ではなく、新たな職業作曲家という仕事の難しい点でもある。
(記:2021年2月1日)