ベートーヴェンを毎日聴く331(2020年11月26日)
『ベートーヴェン/カノン「ホフマンよ、決してホーフマンになるなかれ」WoO180』を聴いた。
詩人、作家、音楽評論家、その他の活動を含め多才ぶりを発揮したE.T.A.ホフマン。略されている部分を表記すると「エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン」という長い名前である。
作曲家でもあって全体の数は少ないものの、オペラも作っているのでそれなりの能力があったのだろう。残念ながら今では聴ける作品はなかなか無いようだが。
ベートーヴェンの作品を評論したことでも有名で、交響曲第5番「運命」の評論では作曲者を感激させたという。
このカノンはホフマンという名前が出てくるのでE.T.A.ホフマンに宛てた作品だと思っていたが、本人に贈られたわけではないようだ。
たまたま会話の最中にE.T.A.ホフマンの話題が出たのであろう。その名前に「ピン!」とひらめきニヤリと笑うベートーヴェン。
「ホフマンよ、決してホーフマンになるなかれ」
というダジャレを思いつき、カノンに仕立て上げたということだろう。
ホーフマンには裁判官という意味があるようで、その意味を反映させてみると
「ホフマンよ、決して裁判官の様に、厳しく白黒良い悪いをつけるんじゃあないぞ。(私の作品に対して)」
ということになるのであろうか。
なお、E.T.A.ホフマンの綴りはHoffmann、裁判官の綴りはHofmannと"f"の数が違う。
「ナ、ナ、ナイン!」と聴こえるところがあるが、これは
Nein,Nein,Nein! (英語だとNo,No,No!)
でありとてもユニーク。
多才なE.T.Aホフマン。「決してホーフマンになるなかれ」と歌われたが実は裁判官もやっていたという。
彼の耳にこのカノンが届いたかどうかはわからないが、もし聞いたらどう思っただろうか?そしてどう評論したであろうか?
succoによるPixabayからの画像