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ベートーヴェンを毎日聴く227(2020年8月14日)
『ベートーヴェン/歌劇「ファルスタッフ」の二重唱による10の変奏曲 WoO73』を聴いた。
ベートーヴェンを毎日聴く227
— Harayan (Herbert von) (@HarayanV) August 13, 2020
歌劇「ファルスタッフ」の二重唱による10の変奏曲WoO73。1799年
サリエリは当時、宮廷楽長として名声高く、作曲者は自分のことを認知してもらうために作曲したのだろう。表情変化が豊かなこの変奏曲をサリエリも嬉しく思ったに違いない。後、作曲者の先生になる。 pic.twitter.com/unV3kfbgQ9
歌劇「ファルスタッフ」と言えば、ヴェルディが最後に作った歌劇として有名なものだが、それが作曲されるよりも前にサリエリによって歌劇が作られていた。その歌劇に登場する二重唱「まさにその通り」を主題に用いた変奏曲である。
サリエリと言えば、その才能を憎むあまりにモーツァルトを殺した人物として名が知られている。プーシキンの戯曲「モーツァルトとサリエリ」や映画「アマデウス」での描写が広く知られるがそのような事実はない。そんな噂が先行したのでサリエリという作曲家はイマイチな人物というイメージなのだが、当時のウィーンではモーツァルト以上に有名であり、宮廷作曲家として人気の人物であった。
ウィーンへ出てきたベートーヴェン。ハイドンの下で学んだあと、このサリエリの下でも勉強をすることになる。ちょうどそのころに初演された「ファルスタッフ」、それからわずか数日でこの変奏曲を仕上げたという。
なかなかユニークな表現が各変奏に表現されていて面白い。天が与えたモーツァルトの才能を羨んだサリエリ。あくまでも物語の中のことだが、この変奏曲を聴いたサリエリはベートーヴェンのことをどう思ったのだろうか。ベートーヴェンを殺そうとした、という噂は立たなかったが、こいつはなかなかの才能を持ったヤツだと思ったのではないだろうか。
steve opreyによるPixabayからの画像