顧客関係管理(CRM)と組織行動(OB)の関係:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、顧客関係管理(CRM)と組織行動(OB)の関係に関する論文です。
顧客関係管理(CRM):
顧客との関係を管理し、データを活用して顧客ニーズに応じたサービスを提供するための戦略的手法。CRMは、企業の製品やサービスの個別化、顧客エンゲージメントの向上、顧客満足度の改善を目的とする
組織行動(OB):
組織内での個人やグループの行動を研究し、組織全体のパフォーマンスを高めるためのマネジメント手法。OBは、リーダーシップ、モチベーション、チームワーク、コミュニケーションなどに関わる
今日の論文
Integrating Customer Relationship Management in Organizational Behavior: A Strategic Approach
顧客関係管理の組織行動への統合:戦略的アプローチ
Advances in Economics, Business and Management Research, 2024
Jincheng Yu
サマリ
顧客関係管理(CRM)と組織行動(OB)の関係について掘り下げ、CRM戦略がどのようにして組織構造や従業員の行動、ビジネス全体の成果を向上させるかを探求
CRMとOBの統合によって、より効果的な管理手法とビジネスパフォーマンスの向上が実現されることを示す
CRMの原則が組織行動の枠組みとどのように一致し、相互に補完し合うかについて詳述し、顧客関与、従業員の満足度、運用効率の改善につながることを提案
方法
CRMと組織行動の相互作用について理論的および実践的な観点から包括的に分析し、両者のシナジーを引き出すための戦略的アプローチを提案
わかったこと:
CRMとOBの統合による組織の文化変革
CRMとOBの統合は、組織全体の顧客志向を高めるだけでなく、業務効率の向上と従業員の満足度の向上にも寄与し、組織の競争力を強化する
顧客中心の文化形成
CRMの導入により、組織全体が顧客データを活用し、顧客ニーズを深く理解し、迅速に対応できるようにする。これにより、従業員は単なる取引ではなく、長期的な関係構築を重視するようになり、顧客対応が組織全体の優先事項となる「顧客中心の文化」を形成する。部門間の壁を取り払い、部門横断的な協力を促進し、全員が同じ顧客情報を共有しながら一貫した顧客対応を可能にする業務効率の向上
CRMは、顧客との過去のやり取りやニーズを一元的に管理するシステムであり、これにより顧客情報を組織全体で共有する。この共有により、営業、カスタマーサポート、マーケティングなどの部門間での重複作業や情報の断絶を減らし、効率的に業務を進めることができる。たとえば、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴に基づいて、各部門が迅速に対応を行うことで、全体的な運用効率を向上させる従業員の満足度向上
CRMの導入により、従業員は顧客対応の重要性を強く認識し、従来の短期的な売上目標から顧客との長期的な関係構築へとシフトする。これにより、従業員は顧客からのフィードバックや成果を直接感じることで、仕事へのやりがいや満足度を高める。また、CRMシステムは業務の透明性や効率性を高めるため、無駄な作業を減らし、価値のある業務に集中できる環境を整える。適切なトレーニングやサポートを提供することで、新しい技術への抵抗感を軽減し、従業員のモチベーションも向上させる組織間の協力促進
CRMは、顧客情報を組織全体で共有することで、部門間の連携を強化する。マーケティング、営業、サポートの各部門が同じデータに基づいて意思決定を行うことで、部門間のコミュニケーションを円滑にし、効率的に顧客対応を行うことを可能にする。これにより、組織全体が一丸となって顧客にサービスを提供する姿勢を促進する
論文から得た学び
CRMの統合は、顧客中心のビジネス文化の促進、従業員の顧客対応能力向上、データ駆動型の意思決定の強化など、広範なビジネス戦略の改善に貢献する可能性があることがわかりました。一方で、新技術への適応や、組織文化や従業員の行動変容ってそう簡単に上手くいかないよなあ…と過去の経験を振り返っておりました…