元プロセスエンジニアがメンタルマネジメントを考える⚡
ちょっとナイーブなネタですが、
真剣に、慎重に、つらつらと書かせていただきました。
長文(約6,000文字)となります、
読んでいただいた方の参考になれば幸甚です。
□ 事の始まり
ずいぶん昔の話ですが、会社のストレスチェックで赤信号が灯った事があります。
その際、会社費用で外部のカウンセリングを受ける機会を得ました。確か、月一で半年以上通ったように記憶しています。
意外と楽しかった、勉強になった、という印象が強く、当時の小生にとっては息抜きにもなる貴重な時間でした。
■ カウンセラーに教えられたこと
カウンセリング時に頂いたアドバイスで、特に覚えていることは3つ。
①ストレスを認識すること
→良いことも悪いことも同じくストレスと認識すること
②ストレスから距離を取ること
③認知行動療法を勉強すること
①について、
仕事のストレスは当然の様にある。。。
方や、
子供が生まれた、念願かなって自宅を購入した、自治会の要職について地域貢献した、知り合いも増えた。仕事も昇進して出来ることが増えた。そういった一見良さそうな事もストレス要因として認識する。
ワークライフバランスの名のもとに、仕事・家庭・地域の其々をフルパワーで対応し、自分の時間やゆとりが皆無になっていた。
結果、精神的にも疲弊しかけている。
そういう評価をしました。
②について、
業務上のストレスとして、どうにも苦手な上司がいました。
”距離を取る”ということは実際難しいものの、上役や関係者に、"実は今の上司が苦手でして、、、"と、(できる範囲で控えめに、)自分の気持ちを共有する機会を作りました。
すると、、、
”あいつは馬鹿だからな、馬鹿も使いよう、適当にやんなさい”とか、”お前の方が戦闘能力高いし、、、しょうもないことでエネルギー使わない方がいいよ、御座なり対応が吉!”
など、周囲から声をかけてもらい、随分楽になった記憶があります。
結果、人事的な動きにも繋がりましたが、当の本人(私にとってのストレッサー)が、何せデリカシーのない方で、関係が改善される事はありませんでした。。。
で、③について、
カウンセリング中にも簡単に解説をいただいたのですが、
その後、真面目で実直な性格の小生は、認知行動療法について、その必要性と有用性を感じ、しっかりお勉強することになりました。
■ 自己分析
認知行動療法は先ず自分の心の癖を知ることから、なんですね。
という事で、自己分析をやってみました。
性格が良いか悪いか、という評価をするわけではなく、どんな特徴、特性があるかを書き出してみる、という事をしてみました。
私なりの工夫ですが、ある好ましいと思っていた特性を裏返すと(現実的には”度が過ぎると”という事でしょうか)、好ましくない特性になってしまったりすること、意外と対極の特性があったりすることを、Pros/Consで整理して認識しました。
ちょっと恥ずかしいですが、小生の分析例を以下に曝け出させていただきます!
余りじっくり見ないでください!
□ 認知行動療法
ここからは認知行動療法について、勉強したことをザクッと振り返ります。
勉強してみた印象は、
方法論としての"技"が沢山ある
何だか宗教っぽい
"技"は、勉強したら身につくものではなく、実践、習慣化して初めて身につくもの
です。
因みにこの認知行動療法、禅や東洋思想がルーツ?それらに随分影響を受けているようです。
■ 方法論細目
"技"について羅列してみます。これで全てかも定かでなく、理解が正しいのか等、若干の不安がありますが、12つものアプローチがあったりします。(各論の詳細には触れません。)
①行動活性化;
生活記録をつけて、「メンタル不調と関連している行動」に気づき、健康的な行動に置き換えられる。
②運動・休養;
体を動かしたり、休めたりして、気力、体力を回復できる。
③リラクゼーション;
運動や呼吸法、筋弛緩法、イメージ法、ストレッチを通じて、緊張をやわらげることができる。
④クールダウン(刺激遮断);
良いことも悪いこともストレス、ストレスを認識して距離をとることができる。
⑤マインドフルネス;
自分のからだや心の動きに気づくこと、気づいていること。平静な心でありのままを観察し、受容できる。
⑥機能分析;
「自分のやっていることが、長い目で見てどんな結果になっているのか」を振り返ることが出来る。メンタル不調を強める行動パターンの代わりに、別の行動を計画し、やってみる。
⑦コラム法;
苦痛を引き起こす考え方、気分に気づける。別の捉え方ができる。
⑧脱フュージョン;
ぐるぐる思考に気づける。つらい気持ちを観察したり、ぐるぐる思考を抱えながらも行動する。思考は思考、と割り切れる。
⑨行動実験;
自分の考え方や気持ちが現実的なものかどうか、実験を計画してやってみる。
⑩問題解決法;
自分が抱えている問題について整理し、目標を立てる。解決方法のアイデアを出して、計画を立てる。
⑪ アサーション;
自分の気持ちや意見を率直に表現する一方で、相手の気持ちや意見にも率直に耳を傾けることができる。
⑫ ACT(Acceptance and Commitment Therapy);
思考と感情を受容し、今の自分の価値とつなげ、効果的な行動をとることができる。
■ 問題解決フローチャート
"技"の使い所について、(プロセス)エンジニアらしく、フローチャートにしてみました。
抑々論として、⓪の"心身の健康維持"が最も大切ですね。
そして、理論は理論として、なんとなく自分に合いそうとか、合わなさそう、という”技”があることに気付きます。
私の場合のそれは、①、②、⑤、⑧、⑪が合いそうと感じました。
特に①行動活性化の"生活記録"は、”モニタリング”と称して、まさにプロセス設備の運転データの如く監視してみました。
睡眠時間、朝の気分、運動の有無、業務終了時の気分、夫婦喧嘩の有無、飲酒有無、を毎日記録。
HHL(High High Level)、HL(High Level)、NL(Normal Level)、LL(Low Level)、LLL(Low Low Level)といった具合に閾値を適当に設定。
Vesselの液面計の如く、HLとLLの間に収まるように意識。
小生の場合、特に、睡眠時間、運動の有無、夫婦喧嘩の有無、が、Key Parameterの様で、何らかの原因で睡眠時間が短いと、何かと余裕がなくなり、運動(散歩やジョギング)をパスするようになり、夫婦喧嘩も増えていく、という悪循環を認識できました。
また、⑤の”マインドフルネス”は、本来は瞑想が基本?なのですが、私の場合、
毎朝ベランダに出て空を眺めながら、深呼吸してみる。
そして、あぁ、今日は顧客と打ち合わせがあるからドキドキしてるな、とか、朝一で苦手なあの人と打ち合わせだからソワソワしてるな、とか、今日の勉強会、楽しみだな(ワクワク)、とか、自分の気持ちに気づく。
そして、ドキドキ、ソワソワ、ワクワクしている自分を認めてみる、まぁ、そんなもんだよね、と割り切る(執着しない)。
ということをやりました。
■ 負のスパイラルの遮断
メンタル不調は、よく負のスパイラル(悪循環)と捉えられます。下図の丸枠"つらさの増幅"の領域まで行ってしまうと、自分だけでは対応できない、つまり医療に頼る必要がある、病的な状態と言えるでしょう。
各ステップでの対応策、負のスパイラルの遮断方法を緑の逆線で書いています。上述の認知行動療法もここに含まれています。
で、これ、プロセスエンジニア的には、アレと同じに見えるんです。
プロセスプラントでの安定操業、異常検知、事故防止、事故発生時に被害を拡大させないための仕組
。
。
。
ズバリ、IPLです。
生活記録といい、何でもプロセスプラントに結びつけてしまうのは、所謂、職業病?
いや、そうではなく、プロセスプラントが生き物だ、ということではないでしょうか。。。
□ 最近の話題
メンタルマネジメントに関連した内容が雑誌で特集されていたので2件ほど紹介します。
■ セルフケア
私の愛読書(雑誌)に、暮らしの手帖があります。
小生の母は両親を早くになくしており、”暮らしの手帖”が母親代わりだった、と聞いたことがあります。故に、実家には昔の暮しの手帖が沢山あり、それらを読んでみたり、最新号を図書館で閲覧したりすることが、自身の習慣になっていたりします。
で、なんだかこの雑誌、読んでいると心が落ち着く、日々の暮らしを大切にしよう、お金は掛けられずともより良い暮らしを実現しよう、と思わせてくれるんです。読者の購買意欲を掻き立てる雑誌とは一線を画しています。
ここで、特集に掲載されていた、荻上チキさんのセルフケアについて紹介します。
全く同じではないけれど、結構内容が似通っていることを日々自身がやっていることに気づきました。
”セルフケア”と銘打つと、なんだか仰々しいけれど、所謂息抜き、ガス抜きの類で、健やかに暮らすための手立てやヒントはそこら中に転がっている、と感じました。
ストレスを感じると視野が狭くなりがちですが、ふと今の自分を引いて見る(マインドフルネスな)瞬間・時間を大切にしたいと思います。そして、そうした時間を習慣づけて確保できると、日々の生活が健やかなものになるんだと思います。
前項で認知行動療法について触れましたが、結局のところ問題を発生させないような”本質安全”と”日々の制御”が一番大事だと小生は感じます。
是則、自分に合ったセルフケアを日々実践し、異常を検知し(検知できる状態を維持し)、何か起こったら対処する術を準備しておく(あるいは術があることを知っておく)、ということだと思います。
■ 刺さる言葉
PHP Business The 21という雑誌の特集で”心が強くなる!「メンタル」整理術”の中に、以下のようなKey Phraseが紹介されていました。
✓長友さんの言葉、
自己分析と外部評価を掛け算したような印象を持ちました。
”Whyばかりでなく、Howを考えることが大切。メンタルの強さばかりでなく、とらわれない「柔らかい心」を手に入れる事が大切”、とも、長友さんは仰っています。強い心、というと鋼のようなイメージを持ちますが、魔人ブーの様な弾性が強さの秘訣だったりしますね。
✓新井さんの言葉、
確かに(波長が同じなら?)周波数が小さければ遠くまで飛ぶ、大きければ障害物に強い、の関係の下、大きなエネルギーは低振幅で(高速)で飛ばす、という事か?
ちょっと高校物理でさえ怪しい小生ですが、釣りにしても、”凪”、大事です。小生、冬は潮汐と風況を随時チェックし、いい潮と凪、更にマズメが重なったタイミングを狙って、メバル調査に出かけます。
✓那波さんの言葉、
此れまさしくアサーションの事ですね。
那波さんはこうも言っておられます。”究極は「命まではとられない」という割り切り。これ、小生の元上司が仰ってたことそのもので、小生も予てから勇気づけられていた言葉です。(ただし、命まで取りかねない輩がいないこともないので、冗談抜きで注意は必要。)
✓福永さん、
(言葉関係ないですが)カッコいいですよね。アラフォーの小生には、この言葉、刺さりました。
そうなのね、小職もきっとこれからなのね、と。。。小倉競馬場に行きたくなりました。
正直、タイトルの”心が強くなる!”の部分、認知行動法を勉強した身としては、ちょっと違和感を感じました。記事の内容からしても、”心が柔軟になる!”の方が小生からするとしっくりきます。。。
因みに、この雑誌を発行しているPHP研究所は、松下幸之助さんが創設した会社です。松下さん、小生が自分の父と同様に、事業主として尊敬する人物です。ほぼたまたまですが、小生、長男の名前は呼称を同じく(同音異義)させていただいてます。
□ 最後に
結果、これまでに小生が悟ったことを、ダラダラと書きます。
顧客はもとより、社内関係者との議論でも、理論武装は必須として、アサーティブなコミュニケーションが大事。何をやっても理解してくれない赤子のような相手はもうお手上げ。(第3者の意見も聞き、上層部ルートで解決を図らざるを得ない)。ストレスは理論武装だけでは敵わない。様々な手段があることを知り、自分に合った方法を見つけ、習慣として実践することが大事。
更に、小生は神でも仏でもない、弱い人間だということを認識して、”完璧主義”と距離を置き、一人や二人、悪者(敵)をつくってしまうのも一案。ストレスを溜めて視野が狭くなると、いくら真面目に実直に仕事していても、さらにストレスを重ねたり、暴走しかねないという自己特性がある。冷静さを失って孤立しない、ということも大事。
という事で、皆様、たまには息抜きしましょう!
おしまい
☆ おまけ
小生が考える、メンタルに良い漫画をいくつか紹介します。
風の谷のナウシカ (著)宮崎駿
宇宙兄弟 (著)小山宙哉
スラムダンク (著)井上雄彦
列挙してみてわかりましたが、これ、ただ自分が好きな漫画というだけでは・・・。なにか、道に迷ったとき、原点回帰が必要な時、かつての情熱を思い起こした(い)時に繰り返し読んできた漫画です。
以上、ご参考まで。