時代を生き抜くための頭の中の地図を描く、2つの方法を伝授~「DX の思考法ー 日本経済復活への最強戦略」 西山圭太 冨山和彦
ルールが変わったんだということを一番に言いたいのだと思います。
ルールが変わったのに、なんとなく今までのやり方をそのまま続けていたり、ルールを自分の都合のいいように解釈していたりして
試合にどんどん乗り遅れていないのか、
ゲームがどんどん進んでるのにルールが理解できない、自分はその試合会場のピッチで残されていて
周りはどんどん進んでいっているそんなことになっていないのか、と、問いかけてくれる本です。
DXと聞くと何やらコンピューターを使っていろいろ新しいことをやってみたり、Web 会議で今まで顔を付き合わせていたのをネット回線を使ってやるから移動しなくて済んだ、あー楽だと言ったイメージがあるかもしれません。
あとは SNS でどんどん発信して一儲けしてみようとか。
でも著者はそんな AI や今の DX で表面的に行うこと、今の DX で行われていること、持たれてるイメージが
非常に表面的であり、そもそもそんなことが DX の本質ではないと指摘しています。
変わるためのテクニックとして4つ、紹介されています。
1つめは「具体的なものから抽象化する」。
ピラミッド状で、一旦下から上に上がって、また下に下ろすと言う具体、抽象、具体、この思考パターンを身につけることが勧められています。
具体から抽象に考えを1段階高みに上げるということは、
今、目の前の自分の手元にある問題に対して手持ちの解決策から考えるのではなく、今起きている問題点からその問題点はどういったものか考えるというくせが、まずつきます。
2つ目は、今までにある、すでにある分野で区分けして今までのルールに当てはめようというものではなく
一旦その課題を客観視することで、遠くに置いて見てみることで、その問題のパターンを探ることです。
3つ目はいろんな問題点をじっと見つめて、その問題は何か、そこを詳しく分析する。
つまりその問題の定義をしっかりしたり、その問題の要件を分類化したりするのに力を割くのではなく
もっと問題点をざっくりとらえて機敏に、柔軟に、迅速に対応するという癖をつけること。
4つ目は目の前の具体的な問題点にとらわれて、じゃあその問題点を細かく分類しましょう、 ABC と言ったように
問題点を深堀するのではなく、つまりさらに下に下にと細分化していて細かく区分けするのではなく
そうじゃなくてその問題点から抽出されるポイントを取り上げる、抽象化するということ。
この四つの考え方をもとに物事をとらえると、より速くより的確に物事の本質を捉え、変化に対応できるということができます。
つまり深堀りするのではなく、要素ピックアップする。そしてそのピックアップした内容をもっともっと追求するというイメージです。
そしてもうひとつ、大きなテーマが、
「料理の皿をイメージしてもらいたい」ということです。
いろんな料理も組み合わせでその結果、つまり食べる人の満足度に関わってきます。
料理といえばもちろん食材が必要です。そしてその「材料と調理」この組み合わせで、かなりのバリエーションができます。
そこに「味付け」、ソースという要素を加えます。
そうすると、さらにその料理に幅が出ます。
つまり「食材と調理方法、そして味付け」。この三つの掛け合わせで物事は色々変化するということを指摘しています。
「起きている出来事、事実」に、「それに対する技術、対応、方法」、そして、それに「変化、アレンジ」
この三つの要素を加えることで対応しようという、いわば問題解決の対応策に対する提案です。
この「抽象化」及び「三つの掛け合わせ」、この2つのテクニックをもって対応することで
これからの時代、 DX をとらえて考えていこうというのが、この本の一番の肝の部分です。
この2つだけを身につけるとなれば、なるほどそれならできそうと思われるかもしれません。
私も本を読んで発見がありましたし、感動しました。
よしこれを身につけようという思いにもなりました。それは知らなかったと本を読んで良かったと思います。
著者はこれまでの AI の時代、 DX の時代、今の世の中で、小手先で言われているようなAI、DX の横文字文化に対しては
警鐘を鳴らしています。
そんなことよりも DX を理解した上で、その本質を捉えそれを使って
IX=Industrial transformation=産業まるごとの転換を、薦めています。
この産業界の転換を踏まえると
CX= corporate transformation、 そして
SX= Social transformation つまり企業社会が変わっていく。そして
LX= ライフトランスフォーメーション、人々の行き方、暮らし、人生が変わる。そういう大きな変化に繋がると伝えています。つまり
「 AI→DX→ IX→ CX → SX → LX 」
この流れが起きるということです。
本のテーマも、この産業まるごとの転換点、 IX 時代の生き残り方とそこでの物事の考え方、いわば
<<頭の中の地図を描く方法>>
についてる書かれていて、今後の今から2年5年ぐらいのスパンでの道の進み方の強い味方、地図になると思います。
いずれにせよ今 DX とか AI とか言われると、何か新しいことを今やらないといけないんだろうけれども
正直めんどくさいよね、変えていかないのと不安だし、ちょっと面倒だし、恐れもある。
変わるのが怖いよねというのが割と一般的な印象だと感じます。でも変わらないと、よりしんどくなるのです。
これからまだ人生10年、20年、30年、50年と生きていく中で、今、変わるきっかけ、変わり方、考え方、変化に対応する力を
つけておかないと、今後ますます流れに取り残される。
競技場の中で周りがどんどん流れていってるのに、自分だけ取り残される、
サッカーの試合でみんな攻めていってるのに、自分だけポツンと後ろに取り残される、そんなイメージになります。
その鍵としてはとにかく高みを目指す、山の上をイメージするだと思います。
なぜ今こういうことが起きてるのか、なぜという自分に対する問いかけを繰り返すこと、
最低でも5回、なぜ、なぜなんだ、なぜなんだ、それはなぜなんだ・・・と繰り返していく。
そしてその問題の本質をどんどん見つけ出す。
三角形のピラミッドの頂点へ頂点へと、どんどんどんどん物事を突き詰めていく。
いわば「深掘りするのではなく下に向かって行くのでなく、上へ上へと向けて行く」。
その考え方を身につけることが大切であり、この本が一番伝えたいことだと思います。
このピラミッド思考、そして料理のテクニック、この二つはこの読書感想文を読んでいる方も気軽に導入できると思います。
是非一緒に DX の思考法を深めていき、今という時代の道しるべにしていければと願います。
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