
「障害者雇用について」その②雇用主側の教育
1.雇用主側の「教育不足」の具体例
雇用主や管理職にありがちな課題として、以下のようなものが挙げられます。
• 障害者雇用の本質を理解していない
• 「障害者を雇うことは法律上の義務だが、それ以上のことはしなくて良い」という受け身の姿勢が多い場合があります。
その結果、形だけの雇用になり、本人の能力を活かす配慮や職場環境の備が遅れることがあります。
[精神障害に対する偏見や誤解]
精神障害を抱える人が「仕事ができない」あるいは「扱いにくい」といったステレオタイプが根強く残っていることがあります。これにより、精神障害者の能力を引き出そうという姿勢が欠けてしまうことがあります。
[合理的配慮に関する具体的な方法を知らない]
「合理的配慮」という言葉は聞いたことがあっても、それがどのように実践されるべきか具体的な方法が分からないケースが多いです。たとえば、以下の疑問を持つ雇用主が少なくありません:
⚫︎どこまで配慮するべきか?
⚫︎具体的にどのような対応をすればいいの
か?
⚫︎配慮が過剰になると他の従業員に不公平ではないか?
2. 教育不足が引き起こす問題教育不足による問題は、職場全体に影響を及ぼします。
[障害者の離職率の高さ]
適切な配慮がなされず、精神的な負担が大きくなることで、結果的に離職につながるケースが多くなります。これは、雇用者にとってもコストの無駄になり、負のサイクルを生みます。
[職場の混乱]
雇用主が障害者に対する適切な対応をせず、職場の他の従業員に負担がる場合があります。
これにより、他の従業員との不和が生じ、職場全体の土気が低下することがあります。
[法律違反のリスク]
「障害者差別解消法」に基づき、合理的配慮の提供が義務付けられていますが、これを怠ることで法的責任を問われる可能性があります。
3.雇用主教育を進めるためのポイント雇用主や管理職が適切な知識を持ち、現場で実践できるようにするための方法として、以下の施策が考えられます。
(1)研修の義務化
企業内で、障害者雇用に関する研修を定期的に行うことが重要です。
研修内容には以下を含めると効果的です。
⚫︎障害の種類と特性についての基本的な知識
⚫︎(身体障害、知的障害、精神障害それぞれの違い)。
⚫︎障害者が抱える課題と、それを克服するための合理的配慮の具体例。
⚫︎障害者雇用を通じて職場全体にどのようなメリットが生まれるか。
(2)現場担者の育成
特に重要なのは、現場で直接障害者と関わる管理職や同僚が適切な知識を持つことです。このために「障害者雇用アドバイザー」や「ジョブコーチ」のような専門家を企業内に配置する、あるいは外部から雇うことが効果的です。
(3) マニュアルの作成
雇用主が障害者対応に迷わないよう、合理的配慮や相談対応の「マニュアル」を作成し、現場のガイドラインを明確にすることが有効です。
これにより、障害者対応が属人的にならず、一定の基準に沿った対応が可能になります。
4.現場での文化改革
教育だけでなく、職場全体の文化を改革することも重要です。「障害者雇用は特別なことではなく、職場の多様性を活かす一環である」という意識を浸透させることで、障害者本人も他の従業員も働きやすい環境が生まれます。
《オープンなコミュニケーション》
定期的な意見交換やフィードバックの場を設けることで、障害者と職場の双方のニーズを把握しやすくなります。
【相互理解の促進】
障害者雇用をきっかけに、職場全体で多様性を受け入れる文化を育むことができていきます。
これは、他の従業員にとっても自己成長の機会となります。
こうした取り組みを通じて
雇用主側が【合理的配慮】を単なる義務として捉えるのではなく、職場全体の生産性や幸福度を向上させる取り組みとして前向きに進めていくことが理想ですね。