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「感情の積み重ね」で起こること
1. 「感情の積み重ね」
一度の出来事が、過去の怒りを呼び起こす
私たちは誰しも、過去に様々な経験を重ねています。その中には、傷ついたり、怒りを感じたりした経験も少なからずあるでしょう。
普段は忘れていても、ある出来事がふときっかけとなって、過去の似たような場面や感情が一気に蘇ってくることがあります。この現象は「感情の積み重ね」や「感情の再現」とも言えます。
たとえば、現在の出来事で感じた怒りが、過去の出来事で感じた怒りや嫌な思いとつながってしまい、その場面に関する感情が一気に湧き上がってしまうことがあるのです。その結果、目の前の相手に対して1回分の怒りだけでなく、過去に溜め込んできた怒りや悲しみの「31回分」の感情を抱えてしまうことになるわけです。
2. 「投影」と「転移」―心が過去を今に映し出す
この現象は、心理学的には「転移」や「投影」といった概念に近いものです。転移とは、過去に感じた感情や体験を、今目の前にいる別の相手に無意識に当てはめてしまうことです。
たとえば、過去に自分を傷つけた人と似たような状況や態度を、今の相手に見たとき、過去の記憶や感情がその相手に投影されてしまいます。そして、本来は「今の出来事」にだけ向けられるべき怒りが、過去の「出来事」や「人物」に対する怒りも一緒に混ざり合って、相手にぶつけられてしまうのです。
これが続くと、相手からすると「なぜこんなに怒られているのか?」と驚いたり、理不尽に感じてしまうこともありますし、自分自身も「なぜこんなに感情的になっているのか?」と戸惑うことがあるかもしれません。
3. なぜ感情は蓄積され、溢れ出すのか
こうした感情の蓄積は、「未消化の感情」が心の中に残っているからです。過去に経験したつらい出来事が、自分の中でうまく処理されず、心の奥底に残ってしまっていると、それが後々似たような出来事に触れたときに、過去の感情ごと一気に溢れ出してしまうことがあります。
これはまるで、心の中に「感情のトランク」を持っているようなものです。過去にしまい込んだつらい思い出や怒りがその中に入っているのですが、新たな出来事によってそのトランクの蓋が開き、中の感情がどっと流れ出てしまうのです。
4. どう対応すればいいのか?
このような「感情の積み重ね」による強い怒りに対処するためには、いくつかのアプローチが役立ちます。
① 自分の感情に気づくこと
まずは、自分が感じている怒りが「今だけの怒り」ではなく、「過去の怒りも混じっているかもしれない」と気づくことが大切です。「これは今の相手だけに対する怒りではないのかもしれない」と自分に問いかけてみることで、少しずつ冷静になれることがあります。
② 過去の感情に向き合うこと
過去のつらい経験や傷ついた感情に目を向け、それをじっくりと振り返り、心の中で整理することも有効です。カウンセリングや心理療法などの場を通じて、自分が抱えてきた感情に向き合うことができます。
特に、過去に受けた傷を言語化して話すことで、感情が少しずつ解放され、今の出来事に冷静に対処できるようになります。
③ 怒りを感じる自分を責めないこと
「こんなに怒りを感じてしまう自分はおかしいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、それは自然な反応です。過去の経験が重なっている以上、今の出来事に対して過剰に反応してしまうことは、誰にでも起こりうることです。
自分を責めず、「ああ、私は過去にこれだけつらい思いをしてきたんだな」と、まずは受け入れてみましょう。
④ 感情をゆっくり解放する
怒りや悲しみなどの感情を溜め込むと、それがいつか爆発することがあります。そうなる前に、日記を書いたり、信頼できる友人に話を聞いてもらったりすることで、少しずつ感情を表に出すことが大切です。怒りを感じたとき、「これはどこから来ている感情なんだろう?」と自分に問いかけ、少しずつ解放していく練習をするのも良い方法です。
ーまとめー
今回のように、ある出来事に対して過去の怒りが重なると、相手や自分にとっても「不当」と感じるような反応が生まれてしまいます。
しかし、それはあなたが過去に受けた傷や未処理の感情が背景にあるからで、決して「異常」なことではありません。今の自分の感情が過去から来ていると理解し、少しずつその感情に向き合うことで、怒りが和らぎ、目の前の出来事にも冷静に対応できるようになります。
心のトランクを少しずつ整理し、身軽な自分に近づくために、無理をせずゆっくり進んでいきましょう。