博士の愛した数式 小川洋子
最初の一行を読んで、
私やっぱりこの小説好きだと思った。
博士には寺尾聡さんが、家政婦さんには若い深津絵里さんが思い出される。
あのルートと呼ばれる少年が大人になると、
教師になり吉岡秀隆さんになるのはなんだかとても安心した。
読み進めていくうちに、映画のキャスティングは頭から消えていく。
博士はもう少し背の低い猫背の紳士に、
若い家政婦さんはもう少し垢抜けない平凡な若い女性に。
小説の世界へと入っていく。
友愛数
電車に乗ると必ず切符に印字されている4つの数字で四則演算をしていた私は、
ひとり友愛数を探し始める。
割り算の筆算の逆の記号を使って、公約数を見つけていくのも好きだった。
翌朝、小説の続きを読み進めると
次に小さい友愛数が四桁だと知り、
毎朝《新しい家政婦さん》と博士に認識される《私》と同じ反応をする。
独身時代、新婚時代、子どもを授かったときも読んだ「博士の愛した数式」
今、私は《新しい家政婦さん》と同じシングルマザー。
娘の年齢もルートと呼ばれる少年と同じになった。
算数が好きな娘が博士に出会ったら、どんな数式が生まれるのだろう。
私に、新しい想像の楽しみが加わった。
数年毎に読み直しているのに、いつも最後が思い出せない。
私は違うエンディングを望んでいるのだろう。
私の望むエンディングを探して、小川洋子さんの別の小説を読み始める。
不思議さや痛みを許容する小川洋子さんの世界に
博士とシングルマザー親子のエンディングを探す。
私の愛した博士の数式
第一回本屋大賞受賞 「博士の愛した数式」 小川洋子
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